ポンド円 9月10日高値から上昇一服だが、152円割れを買われて確り

ポンド円 9月10日高値から上昇一服だが、152円割れを買われて確り

おはようございます。大塚亮です。

2021年9月14日の相場分析です。

概況

ポンド円の9月13日終値は152.250円、前日比0.278円高と続伸した。取引レンジは152.316円から151.892円。

9月3日夜の米雇用統計通過後にドル全面高となる中、ポンドドルが4日未明高値1.38904ドルから8日夜安値1.37266ドルまで下落したが、9日からはドル高が弛む中でポンドドルが反騰、10日夜には1.38877ドルまで上昇して4日未明高値に迫った。この流れを受けてポンド円も9日夕刻安値で151.419円まで下げたところから切り返しに入り10日夕刻には152.640円を付けて9月4日早朝高値152.293円を超えて8月20日安値149.182円以降の高値を更新した。

9月10日深夜にかけて反騰一巡でいったん下げたものの、ポンドドルは13日夕刻に1.380ドルを割り込んだところからは持ち直し、ポンド円も13日深夜の一時的な下げで152円を割り込んだところを買われて上昇、14日午前には152.30円台を回復している。

注目ポイント 午後の英雇用統計

9月14日15時には英国の雇用統計の発表がある。ILO方式の7月失業率については6月の4.7%から4.6%への改善が予想されている。8月の失業保険申請件数の前月比については7月の7800件の減少からさらに減少傾向を示すと予想されている。また6月の就業者数については5月の9万5000人増から17万8000人増への改善が予想されている。

デルタ株による感染拡大傾向はなかなか収まらないもののワクチン普及による経済活動再開により景気回復基調は確りし始めており、今回の雇用統計でも改善傾向が維持されればポンド高要因になりえるところだ。

注目ポイント 米CPI

14日夜には米8月消費者物価上昇率の発表がある。前月比の市場予想は0.4%で7月の0.5%から鈍化、前年同月比の予想も5.3%で7月の5.4%から鈍化が見込まれている。またコアCPI上昇率でも前月比比の市場予想は0.3%で7月と変わらず、前年同月比は4.2%で7月の4.3%からの鈍化が予想されている。

米連銀は9月21-22日にFOMCを開催、23日未明に声明発表と議長会見がある。9月6日の米雇用統計での就業者増加が予想を大幅に下回ったことで9月会合でのテーパリング開始決定は見送られるのではないかと予想されているが、今晩のCPI上昇率が予想を上回る場合はテーパリング開始決定の可能性も否定できなくなる。発表内容次第ではドル安ドル高へと大きく振れる可能性もあると注意したい。

注目材料 英中銀も徐々に緩和縮小へ舵を切るか

9月13日に英中銀の市場担当であるハウザー氏が現在実施中の総額8950億ポンドの資産買い入れプログラムを縮小し始める場合、中銀のバランスシートは高水準ながらもやや減少するとし、それによって短期金利が上昇するのを防ぐ措置を講じていくと述べた。またパンデミック対策として昨年3月に採られた政策対応について市場は今後期待すべきでないとも述べたと報じられた。

9月8日には英中銀のベイリー総裁が英下院の財務委員会において「8月の金融政策委員会では利上げ検討に向けて最低条件が整ったと考えるメンバーと回復の力強さが十分ではないと考えるメンバーとで半々に分かれた」とし、自身は「利上げを正当化するほど十分に回復していない」と述べている。

当面は量的金融緩和を含めて緩和政策の継続が予想されているものの、英国の景気回復と物価上昇度合い、雇用の改善が見られれば米連銀がテーパリングを検討しているように英中銀も緩和拡大から縮小へ、先行きの利上げへのプロセスを示すような動きへと舵を切ってゆくことも考えられる。

為替市場としては主要国中銀の緩和政策終了へ向けたスタンスの強弱を見極めながらポンドやユーロ、豪ドル等の方向性を探ってゆくことになり、年初まで続いてきた一律的なドル安やその後のドル高への反応においても差が出てくるのではないかと思われる。

短期テクニカル分析

ポンド円の60分足レベルでは概ね3日から5日周期での底打ちとピークアウトを繰り返すリズムがある。
9月4日未明高値を当面のピークとして下落基調に入っていたが、9月9日夕安値で目先の底を付けて反騰入りとなり9月4日未明高値を超えた。しかしその後の反落で上昇幅の半値以上を解消したために13日午前時点では10日夕高値でピークを付けて下落期入りしている印象とした。

9月13日朝安値151.892円と13日深夜に151.907円の安値を付けたところはいずれも買い戻されているため、底形成期を短縮してすでに新たな上昇期に入っている可能性もあるところだ。このため10日夕高値を超えないうちは13日深夜安値151.907円割れから下げ再開とするが、10日夕高値を超える場合は新たな上昇期入りとして15日午後から17日夕にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では9月14日午前の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンからも上抜けている。このため先行スパンからの転落を回避するうちは上昇余地ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパン転落からは下げ再開と見て遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は11日早朝への反落で40ポイントまで低下してから持ち直し、50ポイント台を維持しつつジリ高となっているので、45ポイントを割り込まないうちは上昇余地ありとし、60ポイント超えから伸びる場合は70ポイントを目指す流れと考える。ただし45ポイント割れからは下げ再開とみて20ポイント台への低下を想定する。

9月14日の売買戦略

9月13日の反落時は152円割れを二度切り返して確りしているため、152.15円から151.90円までは押し目買いゾーンとして10日夕高値試しへ向かうとみる。

10日夕高値を超えないかわずかに超えても151.15円割れへ失速する場合はダブルトップ形成による下落期入りを警戒するが、10日夕高値超えから勢い付く場合は153円試しへ向かう流れとみる。

152円割れを買い戻せなくなり151.90円割れへ進む場合は9日夕安値151.419円試しへ向かうとみるが、151.50円割れは7日夜以降で何度か買い戻されているのでもう一度底固さを見せるのではないかとみる。ただし、米CPI発表から大きく動きだす場合はその流れに乗じるスタンスで構えたい。

9月14日の注目指標

  • 英国
  • 15:00 8月 失業保険申請件数 (7月 -0.78万件)
  • 15:00 8月 失業率 (7月 5.7%)
  • 15:00 7月 失業率・ILO方式 (6月 4.7%、予想 4.6%)
  • 米国
  • 21:30 8月 消費者物価指数 前月比 (7月 0.5%、予想 0.4%)
  • 21:30 8月 消費者物価指数 前年同月比 (7月 5.4%、予想 5.3%)
  • 21:30 8月 消費者物価コア指数 前月比 (7月 0.3%、予想 0.3%)
  • 21:30 8月 消費者物価コア指数 前年同月比 (7月 4.3%、予想 4.2%)
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