豪ドル円 9月6日からの5日連続陰線による下げ一服だが戻りは鈍い

豪ドル円 9月6日からの5日連続陰線による下げ一服だが戻りは鈍い

おはようございます。大塚亮です。

2021年9月14日の相場分析です。

概況

豪ドルの9月13日終値は81.082円、前日比0.318円高と反発した。取引レンジは81.121円から80.671円。

9月3日夜の米雇用統計発表直後に付けた高値82.023円と9月7日午後の豪中銀金融政策発表直後に付けた高値81.982円をダブルトップとして下落に転じ、9月6日から10日までは5営業日連続の日足陰線で下落、週末の10日午前に80.753円まで安値を切り下げたところから10日夕刻高値81.415円までいったん戻したものの勢いは続かず、米8月PPI上昇率発表からのドル高のぶり返しで11日早朝には80.751円を付けて10日午前安値を割り込んで先週を終えた。

週明けは13日午後安値で80.671円まで安値を更新したが、その後はややジリ高で戻している。

14日午前には81.144円まで戻り高値を若干切り上げているが、10日夕高値にはまだ距離のあるところだ。

注目材料 NAB信頼感指数は改善、住宅価格も改善傾向

豪ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)が14日午前に発表した8月の豪企業景気信頼感指数は前月比2ポイント改善のマイナス5となった。現況指数は前月から4ポイント改善してプラス14となった。NABによればシドニーとメルボルンのロックダウンにより景況感は低迷しているが、その中でも景気の底堅さを示すものとした。

豪統計局が14日午前に発表した4-6月期の住宅価格指数は前期比で6.7%上昇となり市場予想の6.0%を上回り1-3月期の5.4%上昇から伸びた。前年同期比では16.8%増となり1-3月期の7.5%及び市場予想の9.0%を上回った。

4-6月期はデルタ株感染拡大によるロックダウン前の状況であり前年同期比は昨年のコロナショック当初の不況時との比較になるため、7月に入ってからの感染拡大とロックダウンの長期化による悪影響は7-9月期の統計に反映されるため、今回の数字が好調だったとしても市場は楽観的な豪ドル買いには進めずにいる。

テクニカルポイント 戻り高値切り下がり型

9月3日の米雇用統計直後に付けた高値と7日午後に豪中銀金融政策発表直後に付けた高値がダブルトップ型となって下落に転じてきた。豪中銀による量的金融緩和における資産購入規模が縮小されたものの購入期限を延長したことでいったん豪ドル買いされたところから急落に見舞われて60分足ではダブルトップ型、日足では毛抜き天井型を形成した。先週は丸1週間を連日の陰線で下げたが、10日夕刻の反発も81.50円には届かずに戻り高値を切り下げる形で13日午前へ一段安している。

下落基調にあるときは、数日の下げからいったん買い戻しに入っても戻り高値を切り下げてその後に安値を更新してゆく右肩下がりの展開に陥るが、現状もそうした右肩下がりの範囲での推移となっている。

9月14日午前へジリ高での推移が続いているので、このまま新たな安値更新を回避して10日夕高値を超えれば10日午前安値と13日午後安値によるダブルボトム形成からの上昇再開へと流れが変わる可能性もあるが、高値切り下げへ進めないうちは一段安警戒とし、13日午後安値を割り込む場合は3日夜と7日午後のダブルトップからの下落が二段目に入り下げ足が速まる可能性もあると警戒したい。

ただし、中勢としては8月20日安値からのV字反騰一服による反落の範囲であり、80円辺りまでを押し目形成水準として持ち直せばV字反騰継続へ進む可能性もある。同様の展開で8月23日からV字反騰してきたNY原油は13日に戻り高値を切り上げてV字反騰を継続している。中勢レベルで押し目形成にとどまれるかどうか、今晩の米CPI発表からの市場反応等で流れも見えてくると思われる。

短期テクニカル分析

60分足チャートにおいては概ね3日から5日周期での騰落リズムがみられる。

豪ドル円は9月3日夜高値と7日午後高値を60分足レベルのダブルトップからの下落が10日午前安値で一服となり10日夕刻へいったん戻したものの既に底割れとなっている。このため現状は10日夕高値を起点として底割れにより新たな下落期に入っていると思われる。

13日午後安値ではまだ若干の安値更新にとどまっておりその後をジリ高で推移しているので10日午前安値と13日午後安値によるダブル底形成から戻す可能性も多少あるが、11日夕高値を超えないうちは一段安警戒とし、13日午後安値割れからは一段安入りとして15日午前から17日午前にかけての間への下落を想定する。ただし、10日夕高値を超える場合はダブルボトム形成から流れが変わったとみて15日夕から17日夕にかけての間への上昇と9月3日夜高値試しを想定する。

60分足の一目均衡表では9月13日午前安値からややジリ高の推移が続いているために遅行スパンが好転して先行スパンからも上抜けつつある。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、遅行スパンが再び悪化するところからは下げ再開と一段安入りを想定する。

60分足の相対力指数は11日早朝に30ポイント台序盤へ低下したところからジリ高の推移で50ポイントを超えてきているので、50ポイント以上での推移中は上向きとして60ポイント台中盤を目指す可能性があるとみるが、45ポイント割れからは下げ再開として30ポイント割れを目指す下落を想定する。

9月14日の売買戦略

ややジリ高の推移だが勢いに欠けるとみて10日夕高値を超えない範囲=81.25円から81.40円台までは戻り売り有利の展開とみる。80.85円割れからは下げ再開と仮定し、13日午後安値80.671円割れからは80.25円、80.00円を順次試す流れとみる。

9月14日の注目指標

  • 英国
  • 15:00 8月 失業保険申請件数 (7月 -0.78万件)
  • 15:00 8月 失業率 (7月 5.7%)
  • 15:00 7月 失業率・ILO方式 (6月 4.7%、予想 4.6%)
  • 米国
  • 21:30 8月 消費者物価指数 前月比 (7月 0.5%、予想 0.4%)
  • 21:30 8月 消費者物価指数 前年同月比 (7月 5.4%、予想 5.3%)
  • 21:30 8月 消費者物価コア指数 前月比 (7月 0.3%、予想 0.3%)
  • 21:30 8月 消費者物価コア指数 前年同月比 (7月 4.3%、予想 4.2%)
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