ポンド円 ドル全面高で6月1日以降の安値を更新

ポンド円 ドル全面高で6月1日以降の安値を更新

おはようございます。大塚亮です。

2021年9月30日の相場分析です。

概況

ポンド円の9月29日終値は150.331円、前日比0.627円安と続落した。取引レンジは151.198円から149.900円。

9月28日に152.569円まで上昇して9月21日安値148.947円以降の高値を更新したのだが、28日は前日比1.151円安の大幅下落となり、28日深夜には150.530円まで下げて1日の下げ幅として2円を超える日足大陰線となった。29日午前は下げ渋りから一時151円台を回復していたが、夕刻からドル全面高が一段と進んだために28日深夜安値を割り込んで一段安に入り、29日夜には149.900円まで安値を切り下げた。ドル高一服で150円割れを買い戻されたものの150円台前半にとどまっており、さらに一段安へ進みかねない状況だ。

テクニカルポイント ポンドドルは6月1日以降の安値を更新、1.350ドルを割り込む

ポンドドルは6月1日高値1.42493ドルから7月20日安値1.35721ドルまで下落した後は新たな安値更新を回避していたが、9月14日高値1.39122ドルでは7月29日高値1.39809ドルに届かずに戻り高値切り下がりとなり、9月28日の大幅下落で7月20日安値を割り込む一段安となった。29日も大幅続落で1.350ドルを割り込んで今年1月以来の安値となったが、7月20日安値と7月29日の戻り高値を起点としたレンジ縮小型の三角持ち合いからの転落であり、7月29日の戻り高値を起点として6月1日天井からの下落は二段目に入った。7月29日からの下落も8月20日までを一段目とし、9月28日の一段安により二段目に入っているが、三段下げ構成へと発展する可能性もあると警戒される。

テクニカルポイント ポンド円は戻り高値切り下がりからの安値更新を試す流れ

ポンド円は9月28日高値では9月14日高値に届かずに失速している。5月27日天井以降は6月23日高値、7月29日高値、9月14日高値、9月28日高値と戻り高値は切り下がっている。9月14日と9月29日の高値は5月27日以降の高値を結ぶ上値抵抗線をザラバ(日足の上ヒゲ)では一時的に超えているものの終値ベースでは越えられずにいずれも上ヒゲ陰線で急落している。

今年3月以降は、3月24日安値148.529円、4月23日安値149.070円、7月20日安値148.458円、8月20日安値149.182円、9月21日安値148.947円と150円を割り込んだ安値を買い戻されてきた。しかし7月20日安値と8月20日安値を結んだやや右肩上がりの下値支持線を割り込んできているため、9月28日高値での抵抗線到達からの下落再開として今回も150円割れを買い戻されることができるのかどうかが試される。9月21日安値を割り込むようだと下値支持帯からの転落により下げ足が速まる可能性もあると警戒される。

注目材料 住宅融資統計は堅調だが燃料不足パニックで先行き不安

英中銀が9月29日に発表した8月の住宅融資は前月比52億9300万ポンドの純増で市場予想の37億ポンドを大幅に上回り、減税措置縮小の影響のあった7月の17億5800万ポンドの純減から回復した。優遇措置や在宅勤務の拡大での物件需要により英国の住宅市場は昨年夏から活況だが、税優遇措置はイングランドと北アイルランドで7月から縮小されて9月末で廃止、スコットランドとウェールズではすでに廃止されている。8月の消費者向け融資は3億5100万ポンドの純増で7月の3200万ポンドの純増から大幅拡大、市場予想の3億ポンド純増を上回ったが、前年同月比では2.4%減少だった。

英国ではEU離脱の影響とコロナ禍の影響で運送に大きな支障が出ており、今週は各地のガソリンスタンドに長蛇の列ができて店頭在庫が枯渇、車通勤ができない状況も発生して燃料パニックと報じられている。ジョンソン英首相は軍隊に大型車運転手の動員を要請し、政府在庫の放出も検討されるとしている。英国内の燃料在庫が枯渇しているわけではなく、運転手不足による配送の大幅遅延が問題のようだが、この問題が長引くと年後半の英国景気にも大きな影響が出かねないと懸念が広がっており、ポンド売り材料ともされている。英中銀は年末にも利上げの可能性を示唆する姿勢を示しているものの、燃料パニックの影響が深刻化する場合は政策スタンスの変更も余儀なくされる可能性がある。

短期テクニカル分析

ポンド円の60分足レベルでは概ね3日から5日周期での底打ちとピークアウトを繰り返すリズムがある。

9月21日夜安値を起点とした情緒は9月28日午後高値でピークとなり下落期に入ってきているところだが、28日へ一段高する前の小持ち合いの終点である27日午後安値を基準とすれば安値形成期は9月30日から10月4日にかけての間と想定されるが、9月21日夜安値から5日目となる28日深夜安値で直近のボトムを付けて底割れしているとみれば安値形成期がさらに伸びる可能性もあるところと注意する。強気転換には29日午前高値151.198円を超える必要がありそうだ。

60分足の一目均衡表では9月28日夜の急落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落したが、その後も両スパン揃っての悪化が続いている。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンへ到達できないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とする。

60分足の相対力指数は28日深夜安値から29日夜安値への一段安に際して指数のボトムが切り上がる強気逆行がみられるので29日夜安値を起点として反騰入りする可能性もあるが、50ポイント台を回復できないうちはもう一度20ポイント台前半を試す可能性があるとみる。

9月30日の売買戦略

2日連続の急落から150円割れを買い戻されているものの、下げ渋り程度にとどまっているのでまだ一段安余地ありとみて戻り売り有利の展開と考える。150.50円から151円までは戻り売りにつかまりやすい水準とし、安値更新からは149円台序盤(149.30円から149.00円)を目指す流れとみる。強気転換には戻り高値を切り上げる必要があるので、現時点では29日午前高値151.198円を下回る範囲の反騰ならその後に直前安値からの戻り幅の半値を削るところから一段安へ向かいやすいと考える。

9月30日の注目指標

  • 米国会計年度末、10月1日以降の政府機関閉鎖回避への暫定予算案可決期限
  • 英国
  • 15:00 4-6月期 GDP改定値 前期比 (速報 4.8%、予想 4.8%)
  • 15:00 4-6月期 GDP改定値 前年同期比 (速報 22.2%、予想 22.2%)
  • 15:00 4-6月期 経常収支 (1-3月 -128億ポンド、予想 -157億ポンド)
  • ドイツ
  • 16:55 9月 失業者数 前月比 (8月 -5.30万人、予想 -3.30万人)
  • 16:55 9月 失業率 (8月 5.5%、予想 5.4%)
  • 21:00 9月 消費者物価指数速報値 前月比 (8月 0.0%、予想 0.1%)
  • 21:00 9月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (8月 3.9%、予想 4.2%)
  • ユーロ圏
  • 18:00 8月 失業率 (7月 7.6%、予想 7.5%)
  • 米国
  • 21:30 新規失業保険申請件数 (前週 35.1万件、予想 33.5万件)
  • 21:30 失業保険継続受給者数 (前週 284.5万人、予想 280.0万人)
  • 21:30 4-6月期 GDP確定値 前期比年率 (改定値 6.6%、予想 6.6%)
  • 21:30 4-6月期 GDP個人消費確定値 前期比年率 (改定値 11.9%、予想 11.9%)
  • 21:30 4-6月期 コアPCE確定値 前期比年率 (改定値 6.1%、予想 6.1%)
  • 22:45 9月 シカゴ購買部協会景況指数 (8月 66.8、予想 65.0)
  • 23:00 米下院、FRBと財務省の新型コロナに関する公聴会