ポンド円 158円到達後の調整で週末は続落、156円割れから戻して足場固めを試す

ポンド円 158円到達後の調整で週末は続落、156円割れから戻して足場固めを試す

おはようございます。大塚亮です。

2021年10月25日の相場分析です。

概況

ポンド円の10月22日終値は156.105円、前日比1.161円安と大幅続落した。取引レンジは157.655から155.930円。

10月7日から15日まで7連騰となり157円台に到達して5月27日高値156.061円を上抜く一段高となり、19日には158円台に到達して高値を158.219円まで伸ばしたが、週後半はそれまでのドル安からドル高へと流れが変わったことでポンドドルが下落し、ドル円も114円台中盤まで上昇したものの115円台は時期尚早として調整安に入ったためにポンド円はポンドドルの下落とドル円の下落が重なって10月21日に前日比0.782円安の陰線で下落、22日も1円を超える下落規模で2日連続の陰線引けとなった。

注目ポイント ポンドドルが確りできるか、ドル円の調整規模は?

ポンド円は9月21日安値148.947円で7月20日安値148.458円割れを回避、8月20日安値も含めて三点底として反騰入りしてきたが、ドル円が9月15日底から大上昇期に入り、ポンドドルも9月29日底から反騰入りしたことにより、ドル円の大幅上昇とポンドドルの反騰が相乗効果となって勢い付いて5月27日高値を超えて昨年3月のコロナショック以降の高値を更新、さらに2017年以降の壁であった156円台の上値抵抗帯を突破して158円台まで高値を伸ばしてきた。

しかしドル円は10月20日に114.69円まで上昇したところで大上昇一服となり先週末にかけての調整安で113円台へ下落した。またポンドドルも10月19日夜高値1.38328ドルと21日未明高値1.38339ドルがダブルトップ型となって週末にかけてはジリ安の推移となった。

ポンド円としてはドル円とポンドドルが揃って上昇再開へ向かうか、ドル円の調整がやや長期化したとしても原市場のポンドドルがダブルトップラインを超えて一段高に入るか、いずれかの展開で高値更新を伺いたいところだ。ポンドドルは1.370ドル台前半までで確りできれば足場固めとなり1.380ドル超えから上昇再開へ進みやすく、ドル円は113円前後までを下値支持線として確りできれば、22日午前の戻り高値114.204円を超えるところから上昇再開感が出てくると思われる。

注目材料 英PMIは堅調

10月22日にIHSマークイット/CIPSが発表した10月の英製造業PMIは57.7となり9月の57.1から上昇、市場予想の55.8を上回った。サービスPMIは58.0となり9月の55.4から上昇、市場予想の54.5を上回った。総合のPMIは56.8となり9月の54.9から上昇、市場予想の54.0への悪化を覆して5月以降で最大の上昇幅となった。

ワクチン普及と共にロックダウンを解除して経済活動が活発化してきてるが、一方では感染拡大も止まない状況にあり、エネルギー価格高騰やEU離脱問題とコロナ禍での混乱を背景とした物流障害等の問題も多いが、当面は景気回復感を維持しての推移が続きそうだ。

今週の注目ポイント

今週は日銀とECB、カナダの金融政策決定会合、米国とドイツ、ユーロ圏のGDP、週末には米国の個人消費支出の発表がある。

ECBは最近の総裁発言等を見れば緩和姿勢の継続で利上げ時期を意識する状況になくECB声明文や総裁会見内容次第ではユーロ安のきっかけになりえるところであり、その際はユーロドルの下落と共にユーロポンドでのユーロ安ポンド高の可能性も考えられる。

日銀はYCC(イールドカーブコントロール)による長期金利抑制姿勢を含めて金融緩和の長期的な維持から抜け出せない状況にあるため、特段のサプライズが無ければ円安反応を示しやすいと思われる。カナダ中銀は金融政策の現状維持と予想されている。

11月2-3日に米連銀のFOMCも迫るが、10月28日の米7-9月期GDP速報値や29日の9月PCEコアデフレーター等が予想を上回る場合は米連銀による利上げ想定時期への思惑からドル高のきっかけにもなりやすいところだが、逆に低調な数字なら米連銀も利上げを急がないとしてドル安ポンド高へのきっかけにもなりえるところだ。

物価上昇は世界的に進行しており、英中銀は年内の残り二回の理事会で利上げが予想されている。主要国の景気回復と物価上昇の度合いにより中銀の金融姿勢にも差が出てきており、米長期債利回りが上昇しても必ずしもドル高にならず、英10年債利回り上昇が注目されてポンド高へ向かう状況も見られる。

短期テクニカル

ポンド円の60分足レベルでは概ね3日から5日周期での底打ちとピークアウトを繰り返すリズムがある。

10月1日夕安値を起点とした上昇基調を続けてきたが、10月20日昼高値と21日朝高値がダブルトップ型となって下落に転じた。先週末の23日早朝には156円を割り込んだがその後は156円台を回復している。
157円を超えないうちはまだ一段安の可能性が残るが、156.50円以上での推移が続けば上昇再開の可能性ありとし、157円超えからは上昇期に入ったとみて25日午後から27日の日中にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では10月21日夜の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落してその後も両スパン揃っての悪化が続いているが、安値更新を回避してジリ高で推移すれば遅行スパンは好転しやすくなってくる。このため遅行スパン悪化中は一段安余地ありと注意するが、遅行スパン好転からは上昇再開とみて高値試し優先とし、先行スパンを上抜き返すところからは上昇が勢い付きやすいとみる。

60分足の相対力指数は23日未明への下落で30ポイントを割り込んだところから持ち直している。50ポイント前後で抵抗にあうようだとまだ一段安しか寝ないが、55ポイント超えからは上昇再開と仮定して60ポイント超えを目指す流れと考える。

10月25日の売買戦略

中勢はさらに高値追及へ向かう上昇基調の範囲にあるとみるが、目先は調整安の足場が固まったかどうか見定めるところ。157円以下での推移中は一段安余地ありと注意しつつ、156円台序盤までは押し目買い有利とし、157円超えからは158円台回復を目指す流れとみる。23日未明安値を割り込む場合は155円前後への下落を想定するが、中勢の上昇基調継続とみて大きく下げるところは買い拾われやすいと考える。

10月25日の主な予定

  • 14:00 (日) 8月 景気先行指数CI・改定値 (速報 101.8)
  • 14:00 (日) 8月 景気一致指数CI・改定値 (速報 91.5)
  • 17:00 (独) 10月 IFO企業景況感指数 (9月 98.8、予想 98.0)
  • 22:00 (英) テンレイロ英中銀委員、講演

今週の英国関連主な予定

  • 10/26(火)
  • EU、エネルギー危機関連臨時会合
  • 10/27(水)
  • スナク英財務相が予算発表
  • 10/28(木)
  • 日銀金融政策決定会合、政策金利 (現行 -0.10%、予想 -0.10%)
  • 10/29(金)
  • 17:30 9月 英消費者信用残高 (8月 4.0億ポンド、予想 5.0億ポンド)
  • 17:30 9月 英住宅証券融資残高
  • 17:30 9月 英住宅ローン承認件数
  • 17:30 9月 英マネーサプライM4 前年同月比 (8月 7.0%)