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おはようございます。大塚亮です。
2021年10月29日の相場分析です。
目次
概況
豪ドル円の10月28日終値は85.665円、前日比0.087円高と小幅上昇した。取引レンジは85.704円から85.113円。
10月21日に86.248円へ上昇して5月10日高値85.795円を上抜いて昨年3月以降の最高値を更新した後は調整的な動きにつかまっている。10月23日未明へ84.603円までさげたところから27日午前高値86.052円まで戻したものの高値更新に至らず27日夜に85.043円まで下落、85円割れは回避してその後はやや持ち直し気味の推移だが、86円には届かずに戻り高値切り下がり、安値はやや切り上がってレンジ縮小型の持ち合いの様相だ。10月21日への大上昇一服に入り、主要国中銀による金融政策発表も相次ぐ中、来週には豪中銀理事会も控えているため、それらを見定めならは次の方向性を探るところという印象だ。
注目材料 豪PPIは上昇が加速
オーストラリア統計局が29日午前に発表した7-9月期の生産者物価指数は前期比1.1%上昇となり4-6月期の0.7%から加速した。前年同期比では2.9%上昇となり4-6月期の2.2%から伸びが加速した。業種別では石油精製・燃料製造で11.8%の上昇となりエネルギー価格高騰が影響していることを示した。
10月28日に発表された7-9月期の輸入物価指数は前期比5.4%上昇で4-6月期の1.9%を大幅に上回り、輸出物価指数は前期比6.2%上昇で4-6月期の13.2%からは大幅に鈍化したものの高水準にある。
10月27日に発表のあった7-9月期の消費者物価ではコアCPIとされるトリム平均値で前期比0.7%上昇となり4-6月の0.5%上昇を上回り、前年同期比は2.1%上昇で4-6月期の1.6%から伸びが加速して豪中銀によるインフレ目標の2.0%から3.0%の範囲に入ってきている。
注目材料 豪中銀への利上げ圧力
10月29日午前、ロイター通信社がアナリスト調査の結果を発表したが、豪中銀の利上げに関しては2023年4-6月期に利上げに踏み切るのではないかとの予想が中心とされた。豪中銀は量的緩和による資産購入規模を縮小しつつ来年2月半ばまで継続するとし、ロウ総裁は2024年までは利上げしないとの姿勢を繰り返し強調してきたが、物価高騰とロックダウン解除による年末への景気回復見込みを踏まえて市場は利上げ時期が前倒しされると見込んでいる。
豪中銀は10月28日長期金利コントロールにより買い入れで利回り上昇を抑え込むオペレーションを行わなかったことも利上げへ向けた動きの端緒として市場は受け止めている。豪10年債利回りは28日に1.98%へ上昇、3年債利回りは1.24%へ上昇、29日には1.26%へと上昇して利上げが早まるとの見通しを反映している。
テクニカルポイント 上昇一服だが、高値更新の場合の上値目途は
豪ドル円は10月21日高値86.248円と10月27日午前高値86.052円で二度86円台を付けたが、さらに高値更新へ進めずに上昇一服型の調整に入っている。10月23日未明安値を割り込んでいないため、60分足レベルではレンジ縮小型の三角持ち合い、日足では団子状態の持ち合いだが、週足では先週が上ヒゲ陽線、今週もこのまま終了なら陽線引けとなり9月末から6週連続の陽線となるため、高値圏を維持している状況といえる。
現状ではまだ5月高値をわずかに超えた程度のダブル天井型に終わる可能性もあるが、高値更新により昨年3月底からの上昇も昨年9月までを一段目、今年5月までを二段目とし、三段目の上昇期に入っている可能性が考えられる。現状の団子状態での持ち合いから上抜ける場合、チャート上の目安となる高値は2017年9月天井の90.293円まで切り上がると思われる。
短期テクニカル分析
豪ドル円の60分足チャートにおいては概ね3日から5日周期での騰落リズムがみられる。
豪ドル円は10月23日未明安値から27日午前高値へ戻したところでいったんピークを付けて反落したが、27日夜安値と28日午前安値では85円割れを回避して持ち直しているため、両安値をダブル底として上昇期に入っている印象だ。このため27日夜安値85.043円割れを回避するうちは11月1日午前から3日午前にかけての間への上昇余地ありとするが、10月21日高値以降の調整型の推移のため戻りは短命の可能性もあると注意し、27日夜安値割れからは新たな下落期入りとみて11月1日夜から3日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では85円割れを回避しつつも86円に届かない範囲での推移のため方向感に欠けるが、先行スパンを上回るうちは上昇余地ありとして遅行スパン好転中の高値試し優先とし、先行スパンから転落しているうちは下向きとして遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は50ポイント前後までで確りしているので60ポイント超えからは上昇継続とみるが、45ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント台前半への低下を想定する。
10月29日の売買戦略
中勢の上昇基調は継続とみるが、目先は調整的な動きの範囲とみて、86円前後は戻り売りにつかまりやすく、85円前後は押し目買いされやすい展開と考える。
10月21日高値86.248円を超える場合は87円を目指す上昇期入りとし、85円割れから続落に入る場合は84円台前半への下落へ向かうと考える。
10月29日の主な予定
- ドイツ
- 17:00 7-9月期 GDP速報値 前期比 (4-6月 1.6%、予想 2.2%)
- 17:00 7-9月期 GDP速報値・季調前 前年同期比 (4-6月 9.8%、予想 2.6%)
- 英国
- 17:30 9月 消費者信用残高 (8月 4.0億ポンド、予想 5.0億ポンド)
- ユーロ圏
- 18:00 10月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (9月 3.4%、予想 3.7%)
- 18:00 10月 消費者物価コア指数速報値 前年同月比 (9月 1.9%、予想 1.9%)
- 18:00 7-9月期 GDP速報値 前期比 (4-6月 2.2%、予想 2.1%)
- 18:00 7-9月期 GDP速報値 前年同期比 (4-6月 14.3%、予想 3.5%)
- 米国
- 21:30 9月 個人所得 前月比 (8月 0.2%、予想 -0.3%)
- 21:30 9月 個人消費支出(PCE) 前月比 (8月 0.8%、予想 0.6%)
- 21:30 9月 PCEデフレーター 前年同月比 (8月 4.3%、予想 4.4%)
- 21:30 9月 PCEコア・デフレーター 前月比 (8月 0.3%、予想 0.2%)
- 21:30 9月 PCEコア・デフレーター 前年同月比 (8月 3.6%、予想 3.7%)
- 22:45 10月 シカゴ購買部協会景況指数 (9月 64.7、予想 63.5)
- 23:00 10月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (速報 71.4、予想 71.4)