豪ドル円 豪ドル安と円安が交錯するも豪ドル安に圧される

豪ドル円 豪ドル安と円安が交錯するも豪ドル安に圧される

おはようございます。大塚亮です。

2021年11月12日の相場分析です。

概況

豪ドルの11月11日終値は83.142円、前日比0.306円安と下落した。取引レンジは83.662円から83.118円。

11月2日の豪中銀理事会が利上げを急がない姿勢を強調したことで85円割れへ急落し、11月4日未明の米FOMC後にやや戻したものの4日夜の英中銀MPCが利上げを見送ったことでドル高感が強まって84円割れへ失速。その後は84円を挟んで揉み合いを続け、11月10日夜の米10月消費者物価上昇率が予想を大幅に超えたことでドル全面高となる中、いったんは円安で押し上げられたものの84円に届かずに失速し、11日の日中から12日早朝にかけてはジリ安で10日午後安値へ徐々に迫っている。

11月12日午前は豪ドル米ドルが安値を更新する一方でドル円が11日昼高値を超えて一段高に入っていることで豪ドル円は下支えられているが、10日午後安値に対して余裕の乏しい状況だ。

注目情勢 ドル全面高続く

11月10日の米消費者物価上昇率発表から米長期債利回りが急伸してドル全面高の様相となっている。米長期債利回りが上昇しても豪長期債利回りが上昇すればドル高感は減衰するが、インフレ進行に対する金融引き締め及び利上げ催促的な長期債利回り上昇が世界規模での金融緩和感の終焉を意識させ、パンデミック対策としての大規模な量的緩和による過剰流動性が投機マネーと化してユーロやポンド、豪ドルなどが買われてきた流れにも逆風が吹いてきている状況であり、今後は米長期債利回り上昇によるドル高感が勝りやすい環境と思われる。

メジャー通貨の加重平均であるドル指数は11月11日に95.20ポイントへ上昇して年初対高値を更新している。1月6日安値89.21と5月25日安値89.53をダブル底として上昇してきたが、10月12日高値94.56を超える一段高に入っており、95ポイント台到達は昨年7月以来の水準となる。

ドル指数を概ね裏返ししたのがユーロドルであり、ユーロドルは1月6日と5月25日をダブル天井とし、すでに両高値の中間にあった3月31日安値を割り込んで続落中であり、11月11日は年初来安値更新となっている。

豪ドル米ドルは資源エネルギー高に同調した上昇分でかさ上げされたことでまだ9月30日安値を割り込んでおらず、8月20日安値と9月30日安値を結んだ下値支持線を維持しているものの、ドル全面高の継続により支持線を割り込んでくると下げ足が速まる可能性が危惧される。

テクニカルポイント 豪ドル円は82円台までで確りできるか試される

豪ドル円は年初からのドル円の上昇に押し上げられて10月21日には86.248円へ上昇して5月10日高値85.795円を上抜き昨年3月のコロナショック暴落以降の高値を更新した。しかしドル円が10月20日から11月9日へと調整安につかまり、11月に入ってからの豪ドル米ドルが下落に転じたことで83円を割り込むところまで下げてきた。

10月21日への上昇期のようにドル円の上昇が勢い付けば多少の豪ドル米ドルの下落でも円安エンジンで豪ドル円が上昇することも可能だが、円の独歩安となるような円安相場にならないうちは円安で戻しても豪ドル米ドルの下落に推されて戻り売りから一段安へと進みやすくなる。

現状は11月10日午後安値82.999円以降の底割れを回避しているものの、豪ドル米ドルの下落と同調して底割れするようだと82円台序盤を試すところへ下値支持線も切り下がってくる可能性があると警戒される。

短期テクニカル分析

豪ドル円の60分足チャートにおいては概ね3日から5日周期での騰落リズムがみられる。

豪ドル円は11月10日午後安値で83円を若干割り込んだところから10日深夜に84円手前へ戻したものの再び失速して底割れに余裕が乏しくなっている。このため現状は11月10日午前安値で目先の底を付けたものの10日深夜高値で戻り一巡となって新たな下落期に入っている可能性が高いと思われる。底割れ回避か、わずかに割り切んでも切り返す場合は10日午後安値とダブル底を形成して反騰入りする可能性も考えられるがそのためには10日深夜高値を超える必要がある。

10日午後安値を割り込む場合は15日午後から17日午後にかけての間への下落継続と考える。

60分足の一目均衡表では10日夜の反騰で遅行スパンが好転して先行スパンからもいったん上抜けたが、その後の反落で先行スパンから転落し、遅行スパンも悪化している。10日午後安値割れを回避して先行スパンを上抜き返す場合は10日深夜高値を試す流れとみるが、10日午後安値を割り込んで一段安に入るところからは遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は10日夜の反騰時に70ポイントに到達したところから失速し、その後は50ポイント前後が抵抗となっている。55ポイントを超える場合はもう一度10日深夜高値を試す可能性があるとみるが、50ポイント以下での推移中は下向きとし、40ポイント割れからは20ポイント台への下落を想定する。

本日の売買戦略

円安豪ドル安が交錯する状況にあるが、円安要因で上昇しても豪ドル米ドルが下落基調のままであれば戻り売りにつかまりやすい状況と考える。
83.40円から83.70円にかけてのゾーンは売られやすいとみる。83円割れからは82.50円、82.00円を順次試す流れとみる。

11月12日の主な予定

  • 英国
  • 23:00 ハスケル英中銀委員、講演
  • ユーロ圏
  • 19:00 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 -1.6%、予想 -0.5%)
  • 19:00 9月 鉱工業生産 前年同月比 (8月 5.1%、予想 4.1%)
  • 22:50 レーンECB理事、講演
  • 米国
  • 24:00 9月 雇用動態調査(JOLT)
  • 24:00 11月 ミシガン大学消費者信頼感指数速報値 (10月 71.7、予想 72.4)
  • 26:10 ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁裁、講演
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