豪ドル円 82円台到達へ持ち直し9月3日と9月7日の毛抜き天井を超える

豪ドル円 82円台到達へ持ち直し9月3日と9月7日の毛抜き天井を超える

おはようございます。大塚亮です。

2021年10月11日の相場分析です。

概況

豪ドルの10月8日終値は82.032円、前日比0.407円高と上昇した。取引レンジは82.069円から81.540円。

10月8日の米9月雇用統計発表後にドル円が急伸、9日早朝には112.25円まで高値を切り上げて9月30日高値112.07円を超える一段高となり昨年2月20日のパンデミック発生前高値112.21円も超えた。一方で豪ドル米ドルは雇用統計発表直後に0.73378ドルまで上昇して9月30日安値以降の高値を更新した後はドル高のぶり返しもあってやや失速しているが上昇基調を維持した。このため豪ドル円は雇用統計発表直後は豪ドル米ドルの上昇に押し上げられ、豪ドル米ドル上昇一服にあってはドル円の急伸により一段と押し上げられる展開となった。

テクニカルポイント 9月3日と9月7日の毛抜き天井を超える

豪ドル円は10月8日高値82.069円で9月3日高値82.023円を上抜いた。9月3日の米雇用統計通過後にドル高がぶり返したことで9月3日高値と9月7日高値が毛抜き天井型となって下落に転じて9月22日安値78.837円までいったん下げた。8月20日安値77.896円割れには至らずに22日当日からの連騰でV字反騰に入り、8月20日安値からのV字反騰並みに上昇を継続してきたが、10月8日に毛抜き天井を超えたことで8月20日安値からの上昇は二段上げに発展した。8月20日からのV字反騰は11日間だったが、今回は10月8日時点で13日目となる。

毛抜き天井型の上値抵抗線を超えたことで8月20日以降は底上げをしつつ高値を切り上げる上昇パターンを形成しはじめており、7月後半からの81円を超えから82円到達までの上値抵抗感をクリアして一段高を目指す流れに入ってきた可能性があるが、まだ82円台序盤であり、抵抗感クリアには82.50円以上へ進む必要もあるだろう。

注目ポイント ドル円の上昇にやや依存

豪ドル円の上昇と比較すると豪ドル米ドルの上昇は勢いに欠ける。9月30日に0.71687ドルまで下げたところでは8月20日安値0.71060ドル割れを回避して10月8日高値へと戻しているが、9月3日高値0.74773ドルからの下落幅に対する半値戻し0.73230ドルを10月8日高値0.73378ドルでわずかに超えた程度にとどまっており、豪ドル円が9月3日高値を超えたことと比較すれば勢いに欠ける。

10月8日の米雇用統計では就業者増加数が市場予想の50万人増に対して19.4万人増にとどまったものの失業率が4.8%まで大幅改善したことにより11月FOMCでのテーパリング開始決定と来年の利上げという規定路線は変わらないと市場は受け止め、発表直後にいったんドル安反応を見せてからはドル高感がぶり返した。
米10年債利回りは1.61%台へ一段高となる8月4日の1.12%以降の高値を更新した。一方で豪10年債利回りも8日に1.67%へ上昇、11日午前には1.70%台へ到達しており、米長期債利回り上昇と同調しつつ遅れをとっていない。ドル円は日銀の緩和政策長期化により長期債利回りもさほど動かないとみて日米長期金利差から急伸、豪ドル米ドルも米長期債利回り上昇でも確りすることで豪ドル円としてはドル円の上昇に刺激されつつも豪ドル米ドルが確りすれば上昇基調を継続しうる展開となっている。ただし、豪中銀の利上げ想定は2024年とされて米連銀には政策スタンスとして遅れをとっているので、米長期債利回り上昇が金融市場全般の主要テーマとなると豪ドル米ドルも上昇できずに豪ドル円の上昇継続にとっては足かせとなる可能性がある。

今週の注目材料 10月14日の豪雇用統計

今週は10月14日に9月の豪雇用統計がある。長期化するロックダウンについてはワクチン普及率を踏まえて10月中旬から後半にかけて解除されてウィズ・コロナ政策へと向かい、NSW州では10月11日も解除が見込まれているが、9月までの豪経済指標はロックダウン長期化の中にあって低調な展開であり、7-9月期のマイナス成長も危惧されている。

10月14日の豪雇用統計では新規雇用者数が8月の14.63万人減少に続いて13.50万人減少が見込まれ、失業率も8月の4.5%から4.8%へと悪化が見込まれる。予想の範囲なら市場も織り込み済の反応にとどまると思われるが、予想以上に悪い場合は豪ドル売りのきっかけとなり9月後半からの上昇にブレーキがかかりかねないところと注意したい。

短期テクニカル分析

豪ドル円の60分足チャートにおいては概ね3日から5日周期での騰落リズムがみられる。

豪ドル円は10月1日夕安値からの反騰が10月6日午前高値でいったんピークを付けて反落したが、10月1日午後安値から3日目となる10月6日夜安値を押し目底として一段高に入っている。6日午前高値を基準として高値形成期は11日午前から13日午前にかけての間と想定されるので反落注意期に入るところにあり一段高への一服感も出やすいところにあるので、81.50円以上での推移中は高値更新余地ありとみるが、81.50円割れからはいったん下げに入るとみて11日夜から13日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では10月6日夜からの反騰で遅行スパンが好転、先行スパンを上抜き返してその後も両スパン揃っての好転を維持している。10月11日朝に高値を切り上げてからはやや失速気味のため、遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、遅行スパンが悪化して先行スパンへ潜り込むところからはいったん下げに入るとみて安値試し優先へ切り替える。その際は先行スパンの下限で下げ止まれるか試されるとみる。

60分足の相対力指数は10月7日夜高値から8日深夜への一段高に際して巣数のピークがほぼフラットとなる弱気逆行がみられるので、50ポイント以上での推移中は上昇余地ありとするが、60ポイント割れを弱気転換注意とし、50ポイント割れからは下げ再開とみる。

10月11日の売買戦略

週末夜の一段高によるトレンドとしては10月1日午後安値からの上昇基調継続として押し目買い有利の情勢とみて先行きの一段高を期待するが、目先は材料消化で利益確定売りに圧されやすいところと注意する。81.50円を割り込むところからはいったん下げに入るとみて81円台序盤(81.25円から81.00円)を試すとみる。81.25円以下は買い拾われやすい水準とみる。

今週の豪州関連主な予定

・10/11(月)
・IMF・世銀の年次総会(10/17までワシントン)
・国際金融協会(IIF)年次会合(10/15までオンライン)
・休場 米国(コロンブスデー、政府、為替、債券休場、株式、商品は通常取引)
・休場 カナダ(感謝祭)、台湾(建国記念日)、韓国(ハングルの日振替)

 

・10/12(火)
・IMF世界経済見通し
・G20臨時首脳会議(オンライン)、G20貿易相会合(伊ソレント)
・09:00 9月 HIA住宅販売 前月比 (8月 5.8%)
・09:30 9月 NAB企業景況感指数 (8月 14)
・09:30 9月 NAB企業信頼感指数 (8月 -5)

 

・10/13(水)
・08:30 10月 ウエストパック消費者信頼感指数 (9月 106.2)

 

・10/14(木)
・07:00 デベル豪中銀副総裁、講演
・09:00 10月 消費者インフレ期待 (9月 4.4%)
・09:30 9月 新規雇用者数 (8月 -14.63万人、予想 -13.50万人)
・09:30 9月 新規雇用者数 フルタイム (8月 -6.8万人)
・09:30 9月 新規雇用者数 パートタイム (8月 -7.82万人)
・09:30 9月 労働参加率 (8月 65.2%)
・09:30 9月 失業率 (8月 4.5%、予想 4.8%)

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