豪ドル円 円高と豪ドル安の両面から売られて10月21日以降の安値更新

豪ドル円 円高と豪ドル安の両面から売られて10月21日以降の安値更新

おはようございます。小塚亮です。

2021年11月10日の相場分析です。

概況

豪ドルの11月9日終値は83.296円、前日比0.761円安と下落した。取引レンジは84.057円から83.120円。

10月21日高値86.248円から三角持ち合いの様相だったところ、11月2日の豪中銀理事会が利上げを急がない姿勢を強調したことをきっかけに持ち合い下放れとなり、11月4日未明の米FOMC後にいったん戻したものの11月4日夜には84円割れへ一段安、9日午前までは84円を挟んで下げ渋りの横ばいだったが、9日昼には83.409円へ安値を切り下げ、9日夕刻へやや戻したものの84円に届かずに9日深夜には83.120円へ一段安となった。

ドル円が113円を割り込んで10月20日高値114.69円以降の安値を更新して円高感が強まっていることに加え、豪ドル米ドルも11月5日夜の米雇用統計通過からいったん戻していたものの9日深夜の下落で安値更新へ余裕が乏しくなるなど10月28日以降の下落基調が続いていることで、豪ドル円はドル円の下落と豪ドル米ドルの下落基調の両面から圧迫されている。

注目情勢 円高に豪ドル安が重なる

ドル円が下げ止まれずにいる。10月20日高値114.69円を当面のピークとして調整安に入っている印象だが、既に113円を割り込み、11月9日午後には112.70円まで安値を切り下げ、その後も反騰入りできずにいる。1月6日安値102.57円を起点としてここ数年では最大級の上昇基調で推移してきたが、これまでの上昇途中においても3月31日高値110.96円から4月23日安値107.46円まで3.50円の下落、7月2日高値111.65円から8月4日安値108.71円まで2.94円の下落が入っており、今回も同様の調整規模となる可能性が懸念される。

9月15日安値からの上昇に対する調整安とすれば3分の1押しにあたる112.82円をすでに割り込んでいるため半値押しにあたる111.89円等を試す可能性も出てきているところと思われる。調整一巡の後は上昇再開へ向かう可能性も十分にあると思われるが、3か月から4か月周期での大きな調整期にあるため、豪ドル円等クロス円全般が圧されやすいところであり、円高に勝る豪ドルの上昇がないと豪ドル円も安値試しを続けやすいところと思われる。

一方で豪ドル米ドルも10月28日高値0.7555ドルからの下落基調が続いているが、下落規模としては9月3日高値から9月30日安値へ下落した時に近い角度と規模に発展しつつある。豪中銀が11月2日の理事会でYCCを終了したものの利上げを急がない姿勢を強調したことで豪3年債利回り、10年債利回り等が大幅低下していることが豪ドルを圧迫している。また中国の鉄鉱石輸入などが落ち込んでいることも影響している。当面は豪ドル米ドルもドル円も下げやすい状況と注意したい。

注目材料 豪経済指標は改善傾向、感染拡大もピークアウト感

明るいニュースもある。ウエストパック・メルボルン研究所が11月10日午前に発表した11月の豪消費者信頼感指数は前月比0.6%上昇の105.3となり9月のマイナス1.5%から回復した。前年同月比ではまだマイナス2.2%だが、ロックダウン解除により徐々に景気回復感が強まってきている印象だ。

11月9日午前に発表されたナショナル・オーストラリア銀行(NAB)による10月の豪企業景況感指数はプラス11となり9月から6ポイント上昇し、企業信頼感指数も前月から8ポイント上昇してプラス21となった。

オーストラリアのワクチン接種完了率は16歳以上で80%に達したと11月6日にモリソン首相が発表した。ワクチン接種率70%到達から長期に渡ったロックダウンが解除されてきたが、感染者数も10月24日に2688人まで上昇してピークアウトとなりその後は1000人台前半で推移しており、10月31日に1103人、11月6日に1535人とやや増えたものの11月9日には1292人と落ち着いている。7月30日の前回ピーク時の721人を大きく超える感染急増もひと山超えた印象で、年後半への景気回復期待も高まる。

短期テクニカル分析

豪ドル円の60分足チャートにおいては概ね3日から5日周期での騰落リズムがみられる。

豪ドル円は11月2日深夜安値と11月4日未明安値をダブル底として4日午前へいったん戻したが、11月4日夜にダブル底ラインを割り込んで一段安に入った。8日朝安値の後は84円を挟んだ下げ渋り持ち合いとなっていたが、9日午前から一段安に入っているため、現状は11月8日朝安値で目先の底を付けたものの既に底割れにより新たな下落期に入っているところと思われる。安値形成期は11日朝から15日朝にかけての間と想定されるのでまだ一段安警戒の時間帯とみる。

60分足の一目均衡表では9日午前の安値更新により遅行スパンが悪化、先行スパンからの転落も継続している。遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は9日午前からの下落で30ポイントを割り込み、深夜の一段安でも再び30ポイント割れとなった。その後の戻りも鈍いため20ポイント割れへ一段安しやすい状況と思われる。強気転換には50ポイントを超える反騰が必要と思われる。

11月10日の売買戦略

ドル円及び豪ドル米ドルの両面からの売り圧力が継続しやすい状況とみて当面は戻り売り有利の情勢が続きやすいと考える。
83.50円から83.70円台にかけてのゾーンは戻り売りにつかまりやすいとみる。83円割れからは82.50円、82.00円を順次試す流れとみる。

11月10日の主な予定

  • ドイツ
  • 16:00 10月 消費者物価指数改定値 前月比 (9月 0.5%、予想 0.5%)
  • 16:00 10月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (9月 4.5%、予想 4.5%)
  • ユーロ圏
  • 18:30 エルダーソンECB理事、講演
  • 米国
  • 22:30 10月 消費者物価指数 前月比 (9月 0.4%、予想 0.5%、予想 0.6%)
  • 22:30 10月 消費者物価指数 前年同月比 (9月 5.4%、予想 5.8%)
  • 22:30 10月 消費者物価コア指数 前月比 (9月 0.2%、予想 0.4%)
  • 22:30 10月 消費者物価コア指数 前年同月比 (9月 4.0%、予想 4.3%)
  • 22:30 新規失業保険申請件数 (前週 26.9万件、予想 26.5万件)
  • 22:30 失業保険継続受給者数 (前週 210.5万人、予想 209.5万人)
  • 24:00 9月 卸売売上高 前月比 (8月 -1.1%、予想 0.4%)
  • 28:00 10月 月次財政収支 (9月 -615億ドル、予想 -1790億ドル)
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