ポンド円 ポンドドルは続落だがドル円の反騰でポンド円は持ち直す

ポンド円 ポンドドルは続落だがドル円の反騰でポンド円は持ち直す

おはようございます。大塚亮です。

2021年11月24日の相場分析です。

概況

ポンド円の11月23日終値は154.017円、前日比0.177円高と小幅上昇した。
取引レンジは154.216円からから153.281円。

10月20日高値158.219円からの下落が続いていたところ、11月12日安値152.356円で下げ止まり当日から16日へ3連騰、17日には154.698円まで高値を切り上げたが、19日には欧州の感染再拡大を懸念したユーロ安と同調してのポンドドルの下落にリスク回避的な円高も重なって152.520円まで反落した。

11月22日はドル円が反騰、夜にバイデン大統領がパウエル米連銀議長の再任を決定したと報じられたことでドル全面高となりポンドドルが続落する一方、ドル円が急伸したことでポンド円は円安に支えられて持ち直し22日は前日比0.491円高と上昇。

23日も米連銀議長再任による米長期債利回りの上昇とドル高が継続、ポンドドルは3日連続の日足陰線で下落して6月1日以降の安値を更新したが、ドル円が115円台へ到達して年初来高値を更新したためポンド円は円安に支えられて22日からの続伸となった。

注目材料 11月の英総合PMIは低下

11月23日に発表されたIHSマークイット/CIPSによる11月のPMIは製造業が58.2となり10月の57.8から上昇して市場予想の57.3を上回ったが、サービス業は58.6となり市場予想の58.5をわずかに上回ったものの10月の59.1からは低下した。

総合のPMI速報値は57.7となり10月の57.8からはわずかに低下となったが、マークイットによれば投入価格指数は算出を開始した1998年1月以来で最高値となっており、コストアップが進んでいるとした。このため12月の英中銀金融政策決定会合では利上げの可能性があると予想した。

注目材料 英中銀総裁、フォワードガイダンスをやめる?

英中銀のベイリー総裁は11月23日に英上院経済問題委員会において、カーニー前総裁が始めた「フォワードガイダンス」を好まないと述べた。

フォワードガイダンスは中銀の現状認識と金融政策スタンス及びその変更の基準を示すものとして導入されてきたものだが、ベイリー総裁は「現行の英中銀の世界観を説明することですら行き過ぎかもしれない」とし、「ガイダンスを示さずに会合を一つ一つ進めていくべきという考え方もがある」と述べた。

情勢分析と政策スタンスの変更、特に利上げのタイミングについて苦慮している姿勢ともいえる。

英中銀は11月4日に政策金利を過去最低の0.1%に据え置き、量的緩和規模も現状維持とした。
現状維持は9名のうち7名が賛成、2名が利上げ支持だった。総裁はその時には「景気が想定通りに推移すれば向こう数か月で利上げが必要になる」とも述べた。

11月15日には下院財務委員会では「インフレを巡る状況に非常に不安を感じている」「11月4日の会合における利上げ見送りは個人的には非常にぎりぎりの判断だった」とも述べている。

11月17日に英国立統計局が発表した10月の英国消費者物価上昇率は前年比4.2%となり凡そ10年ぶりの伸びであり市場は12月会合での利上げを予想しているが、欧州の感染再拡大問題もあり利上げによる景気の腰折れを防ぎたいところでもある。

注目情勢 ドル円が115円台到達、2016年末以降で最大級の上昇を継続

11月22日夜のパウエル米連銀議長再任報道からドル全面高の様相となっているが、23日にドル円は115円台に到達して1月6日安値102.57円以降の高値を更新した。

ドル円の週足においては、2016年12月天井以降を高値ラインと安値ラインがほぼ平行に走る下降チャンネルが形成されてその範囲内での騰落が繰り返されていたが、7月2日高値を超えて一段高入りした時点でこの下降チャンネルを上抜けており、年初からの上昇がここ数年の縛りから抜け出して最大級に発展したことを示した。

11月17日高値で114.97円を付けて115円に迫ったところではいったん足踏みしたものの115円台到達により上昇基調はなお継続となった。

2017年5月以降のドル円は115円手前が壁となっていたが超えたことによりチャート上の上値目途として意識される高値は2016年12月15日の118.65円まで切り上がった印象がある。

ドル全面高においてドル円が上昇する場合はポンドドルが下落する逆相関となりやすいが、その際に通常ならば原市場のポンドドルの下落がドル円の上昇に勝ってポンド円は下落しやすい。

22日から23日にかけてはポンドドルが続落する一方でドル円が連騰しているが、ドル円の上昇がポンドドルの下落に勝る場合は円安エンジンによりポンド円が上昇を継続しても不思議ない。

しかし力不足だと円安で上昇したところが戻り売りにつかまってポンドドルの一段安に際してポンド円も反落を繰り返すことにもなりやすい。

ポンド円は11月19日夜の急落で152.52円まで下げたが11月12日安値152.35円割れを回避して持ち直しているため155円を超えてくれば10月20日高値からの下落が一巡して上昇再開に入る可能性も浮上してくると思われる。

短期テクニカル

ポンド円の60分足レベルでは概ね3日から5日周期での底打ちと反落を繰り返すリズムがある。

11月19日夕高値から19日夜安値まで数時間で2円近い急落となったところからの持ち直しを続けているため、現状は19日夜安値を起点とした上昇期を継続中と思われる。また23日夕刻にいったん反落したところから切り返しているため、23日夕安値を起点とした上昇期入りの可能性も考えられる。

このため23日夕安値153.281円を割り込まないうちは上昇余地ありとするが、23日夕安値を割り込むところからは下落期入りとして24日夜から26日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では11月23日夕の反落時に一時的に先行スパンを割り込んだものの切り返している。

このため先行スパンを上回るうちは上昇余地ありとして遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパン転落からは下落期に入る可能性が高まるとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は11月23日夕刻の反落時に30ポイント台へ低下したがその後は50ポイント台回復へ戻している。
50ポイント以上での推移中は上昇余地ありとするが、45ポイント割れからは下げ再開を疑い30ポイント前後への低下を想定する。

11月24日の売買戦略

11月19日夜の急落から切り返しているところだが、戻り高値は17日夕高値154.698円から19日夕高値154.440へ切り下がり、23日昼高値も154.216円にとどまって右肩下がりの流れにある。

このため23日昼高値を上抜けば高値切り下がり基調から抜け出して上昇が勢い付くとみるが、超えないうちは戻り一巡からの反落注意とする。

ドル円の上昇とポンドドルの軟調さが交錯する状況のため、突っ込みは買われやすいが噴いたところは売られやすい状況として臨機応変に短期売買してゆくところと考える。

23日昼高値超えからは17日夕高値154.698円、さらに155円に迫る可能性があるとみるが、154.75円以上は反落注意とする。
23日夕刻安値153.281円割れからは下落期入りとみて19日夜安値152.520円試しへ向かうとみるが、152円台中盤(152.70円から152.30円)は買い戻されやすいところとみる。

11月24日の主な予定

  • ドイツ
    ー18:00 11月 IFO企業景況感指数 (10月 97.7、予想 96.6)
  • 米国
    ー22:30 新規失業保険申請件数 (前週 26.8万件、予想 26.0万件)
    ー22:30 7-9月期 GDP改定値 前期比年率 (速報 2.0%、予想 2.2%)
    ー22:30 7-9月期 GDP個人消費改定値 前期比年率 (速報 1.6%、予想 1.6%)
    ー22:30 7-9月期 コアPCE改定値 前期比年率 (速報 4.5%、予想 4.5%)
    ー22:30 10月 耐久財受注 前月比 (9月 -0.4%、予想 0.2%)
    ー22:30 10月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (9月 0.4%、予想 0.5%)
    ー24:00 10月 個人所得 前月比 (9月 -1.0%、予想 0.2%)
    ー24:00 10月 個人消費支出(PCE) 前月比 (9月 0.6%、予想 1.0%)
    ー24:00 10月 PCEデフレーター 前年同月比 (9月 4.4%、予想 5.1%)
    ー24:00 10月 PCEコア・デフレーター 前月比 (9月 0.2%、予想 0.4%)
    ー24:00 10月 PCEコア・デフレーター 前年同月比 (9月 3.6%、予想 4.1%)
    ー24:00 11月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (速報 66.8、予想 66.9)
    ー24:00 10月 新築住宅販売件数・年率換算件数 (9月 80.0万件、予想 80.0万件)
    ー24:00 10月 新築住宅販売件数 前月比 (9月 14.0%、予想 0.0%)
    ー24:30 EIA週間石油在庫統計
    ー28:00 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨