ポンド円  3日連続の日足陰線(三羽烏)で失速、三尊天井型の右肩形成感強まる

ポンド円  3日連続の日足陰線(三羽烏)で失速、三尊天井型の右肩形成感強まる

ポンド円の8月16日終値は151.228円、前日比0.741円安と大幅続落した。取引レンジは152.186円から150.922円。

日足は8月12日から3連続の陰線引け=三羽烏(黒三兵)となり、13日の前日比0.481円安から下げ足がさらに早まった印象だ。

ポンドドルは8月13日夕に1.37908ドルまで下げて8月11日夜安値1.38028ドルをわずかに割り込んだところから反騰して16日夜には14日早朝高値を超えて1.38780ドルまで高値を切り上げたが、8月11日夜に7月の米コアCPI上昇率が鈍化したとしてドル安となった局面で付けた12日未明高値1.38867ドルには届かずに失速した。一方でドル円は8月11日高値110.79円からの下落が継続、先週末夜に米ミシガン大消費者信頼感指数が予想外の大幅悪化となった流れでドル安が進んだところで110円を割り込んだが、16日もNY連銀製造業景況指数の悪化を見て109.10円まで一段安した。ポンド円はポンドドルの上値が重くなって失速したこと以上にドル円の大幅続落が響いて3営業日続落となった。

注目ポイント デルタ株による米中景況感の悪化とリスク回避心理の拡大

8月16日は早朝に8月のライトムーブ英住宅価格指数の前月比がマイナス0.3%となり7月の0.7%から悪化した他は英国主要経済指標の発表はなく全般の動向を見ながらの展開だったが、16日午前の中国7月小売売上高が前年比で8.5%となったものの6月の12.1%から低下して市場予想の11.5%を大きく下回ったことや、7月の中国鉱工業生産の前年比も6.4%にとどまって6月の8.3%から悪化して予想の7.8%を下回る等、中国の景気回復の鈍化傾向が懸念されてのスタートなった。アジアでのデルタ株感染拡大及びデルタ株の中国への流入による移動制限等の影響が出ている印象となった。

16日夜に発表されたNY連銀の8月製造業景況指数も18.3となり7月の43.0から大幅に低下して市場予想の29.0も下回ったことも、ワクチンの進んだ米国でもブレイクスルー感染も含めて感染再拡大の兆候から市場心理が冷え始めている印象となった。

デルタ株感染拡大問題に加えてタリバンが首都カブールを制圧したアフガニスタン情勢も金融市場全般には先行き不透明感とリスク回避感を強めるものとなっている。市場心理の悪化を見て8月16日のNYダウも当初は大幅下落したものの安値は買い拾われて史上最高値更新まで切り返し、終値ベースでは5日連続の最高値更新となっており、株式市場における市場心理はまだ先行きの景気回復続行期待を優先し、米連銀の量的緩和縮小問題についてもさほど気にしない楽観さを見せているが、為替市場は株式市場程には楽観できずにいる印象だ。

テクニカルポイント 三羽烏からの三尊右肩形成の可能性

ポンド円は7月20日安値148.458円を起点として反騰してきたが、7月29日高値153.434円から8月3日安値151.151円まで反落したところからの切り返しでは8月10日高値153.319円にとどまって高値更新へ進めず、8月16日の下落では8月3日安値を割り込んだ。このため7月20日と8月3日安値を結んだこの間の下値支持線を割り込み、8月3日安値も割り込んだことにより戻り一巡から7月20日安値をもう一度試す流れへ進み始めた印象だ。

7月20日安値割れを回避して戻り高値切り上げへ進めば今年3月24日安値を4月23日安値で底割れを回避して一段高したように上昇再開へ向かう目が残るが、150円割れからは7月20日安値試しへ向かい、底割れとなれば5月27日高値からの下落は二段目に発展する。また4月6日高値153.411円と7月29日高値153.434円がほぼ同水準で対となっているため、5月27日高値を頭、4月6日と7月29日の高値を両肩とした三尊天井が完成し、下落基調の長期化も懸念される姿となってくる。

ドル円の下落が一段と進むケース、ドル円が戻してもドル全面高の再燃でポンドドルが大幅下落に向かう場合、いずれのケースでも三尊完成となる可能性を抱えたい状況として注意したい。

8月17日の注目材料 英国の雇用統計

8月17日午後には7月の英国失業率、失業保険申請件数の発表がある。

失業保険申請件数は6月の11.48万件減少からさらに若干減少すると見込まれている。6月の就業者数は5月の25000人増から75000人増と拡大し、6月の失業率はILO基準で5月の4.8%から変わらずか4.7%まで若干改善するのではないかと見込まれているようだ。

デルタ株の感染急増にもかかわらず英国はワクチン普及を優先してウィズコロナにより規制解除を進めているために雇用の回復基調も継続しうるところと思われる。

短期テクニカル分析

ポンド円は8月3日夜安値151.15円を目先の底として反騰入りしてきたが、10日夜高値153.31円に対して12日未明高値は153.29円にとどまって新たな高値更新へは進めずに153円割れから失速して8月9日夜安値152.578円を割り込み、8月13日、16日と大幅続落してきた。16日夜安値からやや下げ渋りがみられたものの17日午前も軟調推移の範囲にあるためまだ一段安が警戒される。

短期的な騰落リズムでは概ね3日から5日周期で安値を付けやすいため、8月9日夜安値を起点とすれば12日夜から16日夜にかけての間が安値形成期となるが、16日夜安値からは下げ渋り程度にとどまっているので下落期の延長入りで17日の日中から19日にかけての間へ安値試しを続けやすい状況と思われる。151.50円を超えるところからはいったん戻りに入るとみるが、戻りが短命に終わってこの間の安値を更新するところからは新たな下落期入りとして今週末から週明けへと下落期がさらに伸びる可能性もあるとみる。

60分足の一目均衡表では8月12日夜の下落で遅行スパンが実線を割り込み先行スパンからも転落したが、その後も両スパンとも好転できずにいる。遅行スパンが実線を超えるところからはいったん上昇に入るとみるが、先行スパンを上抜き返せないうちはその後に遅行スパンが再び悪化するところからは下げ再開に入ると思われる。

8月17日の売買戦略

151.50円以下での推移中は一段安警戒とし、16日夜安値150.922円割れからは150.50円、150.00円を段階的に試す流れとみる。

151.50円超えからは10日夜からの下げ一服で買い戻し優勢に入るとみて151.70円から152円手前にかけての間への上昇を想定するが、そこは戻り売りにつかまりやすい水準とみる。

今晩の経済指標

  • 15:00 7月 英国失業保険申請件数 (6月 -11.48万件)
  • 15:00 7月 英国失業率 (6月 5.8%)
  • 15:00 6月 英国失業率・ILO方式 (5月 4.8%、予想 4.8%)