ポンド円 8月20日以降の高値更新から1円以上の急落、ドル高継続感強まる

ポンド円 8月20日以降の高値更新から1円以上の急落、ドル高継続感強まる

おはようございます。大塚亮です。

2021年9月15日の相場分析です。

概況

ポンド円の9月14日終値は151.441円、前日比0.809円安と大幅下落した。取引レンジは152.845円から151.333円。

9月14日午後の英雇用統計が好調な数字だったことからポンド買いが進んだことで152.845円を付けて8月20日安値149.182円以降の高値を更新したが、米8月消費者物価上昇率発表直後にドル円が急落したことでポンド円は下落に転じ、ポンドドルも発表直後に1.390ドル超えへ一段高したものの長続きせずに急落に転じたためにポンド円はポンド安と円高が重なって急落商状となり、14日深夜に152円を割り込んでから15日未明には151.333円まで続落して安値のまま終値を付けた。

15日午前序盤は急落一服でやや戻していたドル円が再び失速、ポンドドルも1.380ドル割れを回避しつつも急落した水準のままで横ばいとなっているためポンド円は15日早朝安値を割り込んで一段安に入っている。

注目材料 米CPI鈍化するも米連銀のテーパリング方針は変わらずとみてドル高に

9月14日夜に発表された8月の米CPIの上昇率は前年同月比で5.3%となり予想と一致、7月の5.4%から伸びは鈍化した。食品とエネルギーを除くコア指数の上昇率は前月比で0.1%となり7月及び市場予想の0.3%を下回り、前年同月比は4.0%で市場予想の4.2%及び7月の4.3%を下回った。物価上昇の上ブレが落ち着いたことは米連銀のテーパリング開始を催促しない材料として発表後はいったんドル安反応となったが、CPIの水準自体は米連銀の金融政策目標である2%を大幅に上回った状況であり、先週末に発表された生産者物価上昇率が予想を上回ったことも踏まえれば物価上昇率の高止まりとなり米連銀による年内のテーパリング開始への方針は変わらないだろうと市場は受け止めたと思われる。

ユーロドルは米CPI発表直後の高値から急落、豪ドル米ドルは9月3日以降の安値を更新しているが、米英長期債利回り格差から反騰してきたポンドドルも急落に転じたことで全般的なドルストレートにおけるドル高継続感が強まった印象だ。

注目材料 英雇用統計は良好

英国民統計局が9月14日午後に発表した7月の失業率(ILP方式、5-7月の3か月平均)は4.6%となり前月の4.7%から改善、市場予想と一致した。英国式の8月失業率は5.4%となり7月の5.6%(速報の5.7%から下方修正)から大きく改善した。

8月の失業保険申請件数の前月比は5万8600件の減少となり7月の4万8900件(速報の7800件から大幅に下方修正)を上回る改善ぶ英国政府が一時帰休支援プログラムを9月末で終了するものの、事前の雇用がかなりしっかりしていることで終了による影響は軽微にとどまると思われる。

7月までの3か月間における雇用者数(自営業者含む)は18万3000人増で市場予想と概ね一致した。

6-8月の求人数は103万4000件となり統計開始以来初めて100万件を超えた。また5-7月の週間平均賃金は578ポンドで年間上昇率は8.3%増となった。

英国の景気回復、雇用回復、物価上昇等は英中銀に対して量的金融緩和拡大政策を縮小へと転換させる要因になってくると思われる。既に英中銀総裁発言等により英中銀内では利上げの条件が整ったとみるメンバーとまだ緩和継続が必要とするメンバーが半々になったとされ、中銀総裁は緩和継続を主張する立場とされている。

短期テクニカル分析

ポンド円の60分足レベルでは概ね3日から5日周期での底打ちとピークアウトを繰り返すリズムがある。

9月4日未明高値を当面のピークとして下落基調に入っていたが、9月9日夕安値で目先の底を付けて反騰入りとなり9月4日未明高値を超えた。13日深夜にかけては152円割れを何度か買い戻され14日夜に一段高したが、その後の急落で13日深夜安値及び9日夕安値を割り込んだ。このため14日夜高値を当面のピークとして下落期に入ったと思われる。9日夕安値を基準とすれば安値形成期は14日夜から16日夜にかけての間と想定されるので既に反騰注意期となるが、13日深夜安値を基準とすれば安値形成期は16日夜から20日夜にかけての間へと伸びる可能性もある。このため強気転換は152円台回復からとし、152円へ届かないうちは一段安警戒とみる。

60分足の一目均衡表では9月14日夜の急落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落した。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンを上抜き返せないうちは一時的に遅行スパンが好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とみる。強気転換には先行スパンを上抜き返す反騰が必要と思われる。

60分足の相対力指数は10日夜高値から14日夜高値への一段高に際して指数のピークが切り下がる弱気ダイバージェンスが発生してから急落している。50ポイント台回復へ戻せないうちは一段安警戒とみる。

9月15日の売買戦略

9月14日は当日の高安で1円を超える急落の大陰線となったため、8月20日からの上昇一巡による下落期入りとみて当面は戻り売り有利の展開と考える。
151.75円から152円にかけては戻り売りにつかまりやすいとみる。安値更新が続く場合は151.00円、150.50円を順次試す流れとみる。

9月15日の注目指標

  • 英国
  • 15:00 8月 消費者物価指数 前月比 (7月 0.0%、予想 0.5%)
  • 15:00 8月 消費者物価指数 前年同月比 (7月 2.0%、予想 2.9%)
  • 15:00 8月 消費者物価コア指数 前年同月比 (7月 1.8%、予想 2.9%)
  • ユーロ圏
  • 18:00 7月 鉱工業生産 前月比 (6月 -0.3%、予想 0.6%)
  • 18:00 7月 鉱工業生産 前年同月比 (6月 9.7%、予想 6.3%)
  • 24:00 (欧) レーンECB理事、講演
  • 米国
  • 21:30 9月 ニューヨーク連銀製造業景況指数 (8月 18.3、予想 18.0)
  • 21:30 8月 輸入物価指数 前月比 (7月 0.3%、予想 0.2%)
  • 21:30 8月 輸出物価指数 前月比 (7月 1.3%、予想 0.4%)
  • 22:15 8月 鉱工業生産 前月比 (7月 0.9%、予想 0.5%)
  • 22:15 8月 設備稼働率 (7月 76.1%、予想 76.4%)
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