豪ドル円 4日連続陰線で下落、7月20日安値を割り込むも買い戻し効かず

豪ドル円 4日連続陰線で下落、7月20日安値を割り込むも買い戻し効かず

豪ドルの8月17日終値は79.492円、前日比0.657円安と大幅続落した。取引レンジは80.244円から79.336円。

8月11日高値で81.574円を付けて7月23日高値81.659円に迫ったものの高値更新へ進めずに下落に転じ、8月12日から8月16日まで3日連続の日足陰線(三羽烏)で失速して7月20日安値79.833円に迫っていたが、8月17日午前に7月20日安値を割り込み、17日深夜には79.336円まで安値を切り下げた。その後はやや下げ渋っているものの79.50円を挟んだ安値圏にとどまっている。

日足は4日連続陰線引けとなり、8月16日の前日比0.618円安に続く下落規模で終値ベースでも7月20日安値を割り込み5月10日以降の最安値を更新した。

ドル全面高で豪ドル米ドルの一段安

豪ドル米ドルは7月21日安値0.72893ドルからは下げ渋り型の横ばい持ち合いを形成していたが、0.74ドルを超えるところでは戻り売りにつかまって上値の重い状況から抜け出せずにいたが、8月17日の下落で0.72422ドルまで安値を切り下げて7月21日安値を割り込んだ。

昨年3月のコロナショック暴落から出直りに入り歴史的な大上昇を見せてきたが、2月25日高値0.80067ドルに対して5月10日高値0.78904ドルでは届かず、6月18日への下落時に4月1日安値を割り込んで二段下げに入った。6月18日からの小反発も長続きせずに7月20日へ一段安となり、持ち合いから8月17日に下放れしたことにより、5月10日の戻り高値からの下落は三段目に入り、2月25日天井からの下落の二段目が拡大している状況にある。

アフターコロナの復興期待相場がNYダウを先導役として豪ドル等の投機通貨も押し上げてきたのだが、年明け以降は徐々にNYダウの上昇基調には追従できなくなるものが散見されるようになり、豪ドル米ドルは資源相場のプラチナの2月天井及び5月戻り高値からの下落のリズムに近い展開で下げている。

最近のデルタ株による感染拡大がオーストラリアでもシドニーやメルボルンでのロックダウン長期化を招いているが、2月以降は徐々にアフターコロナの景気回復も鈍化を見せつつあり、それよりもリスク回避感を意識する動きとなってきたことが豪ドルの下落につながっている印象だ。最近は原油相場が下落し始めたことも影響している。

注目材料 豪中銀の理事会議事録、QE縮小開始は延期か

オーストラリア準備銀行(豪中銀、RBA)は8月17日に8月3日の理事会議事要旨を公開した。議事録では「保健状況に関するさらなる悪いニュースが景気回復のより顕著な後退につながれば理事会は行動する用意がある」とした。

豪中銀は7月の前々理事会で政策金利を過去最低の0.1%で現状維持としたが9月からはQE(量的金融緩和による債券購入)については週50億豪ドルから40億豪ドルに購入規模を縮小することを決定した。景気回復と物価上昇を踏まえたものだったが、その後にオーストラリアはデルタ株による感染拡大でシドニーやメルボルンでロックダウンが始まり現在も続いている。

8月3日の前回理事会は政策金利を8会合連続で据え置き、シドニーがロックダウンに入ったことを踏まえて中銀の景気判断を下方修正したが、来年に向けて景気は回復するとの見通しを維持した。また7月理事会で決定した9月からのQE縮小についても予定通りとしたが状況次第では「柔軟な対応をする」として見直しを示唆していた。

ロックダウンの影響により7-9月期の豪GDOはマイナス成長になるのではないかと懸念されている。四半期GDPのマイナス成長となれば2020年4-6月期以来となる。悲観的な見通しでは2.7%減となり失業率も5.6%程度まで悪化するとの予想もある。

8月19日には7月の豪雇用統計の発表がある。新規雇用者数については6月の2.91万人増から5.00万人減と予想され、失業率については6月の4.9%から5.0%へ悪化すると予想されている。予想以上に悪化する場合には豪中銀によるQE縮小開始の延期等により豪ドルへの売り圧力が強まる可能性もあると思われる。

短期テクニカル分析

60分足チャートにおいては概ね3日から5日周期での騰落リズムがみられる。

豪ドル円は8月10日昼安値を起点として上昇していたが、8月11日夜高値で目先のピークを付けて下落期に入ってきた。当面の安値形成期は17日夜にかけての間と想定されたが既に想定時期を超えてきているので、8月16日夜安値でいったん底を付けてから底割れにより新たな下落期に入った印象だ。このため安値形成期を19日夜から23日夜にかけての間と想定し直し、80円台回復へと反騰できないうちは一段安警戒とみる。

60分足の一目均衡表では8月12日夜の下落で遅行スパンが実線を割り込んで悪化し、先行スパンからも転落したが、その後も揃って悪化が続いている。安値更新が続かなければ遅行スパンは実線を上抜き返しやすくなるが、先行スパンへ潜り込んで上限を目指す動きへ進めないうちは遅行スパンが一時的に実線を超えてもその後に割り込むところからは下げ再開とみる。先行スパンへ潜り込んで上限を目指す上昇がみられるところからはいったんリバウンドを試す流れとみる。

8月18日の売買戦略

当面、79.60円から79.80円までのゾーンは売られやすいとみる。

安値更新が続く場合は79.00円、78.50円を段階的に試す流れとみる。78.50円以下はいったん買い戻しの入りやすいとみるが、79.50円以下での推移なら19日、20日にかけても安値追及の流れで推移しやすいとみる。

79.80円超えから続伸の場合は80円、80.20円を試すとみるが、そこは戻り売り場と考える。

今晩から明日午前の注目材料

  • 米国
  • 21:30 7月 住宅着工件数・年率換算件数 (6月 164.3万件、予想 161.0万件)
  • 21:30 7月 住宅着工件数 前月比 (6月 6.3%、予想 -2.6%)
  • 21:30 7月 建設許可件数・年率換算件数 (6月 159.8万件、予想 161.0万件)
  • 21:30 7月 建設許可件数 前月比 (6月 -5.1%、予想 1.0%)
  • 23:30 EIA週間石油在庫統計
  • 26:00 財務省20債入札
  • 27:00 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨

 

  • 8/19(木)
  • オーストラリア
  • 10:30 7月 新規雇用者数 (6月 2.91万人、予想 -5.00万人)
  • 10:30 7月 失業率 (6月 4.9%、予想 5.0%)
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