豪ドル円 86円台到達から反落、日足は包み足の大陰線

豪ドル円 86円台到達から反落、日足は包み足の大陰線

おはようございます。大塚亮です。

2021年10月22日の相場分析です。

概況

豪ドルの10月21日終値は85.113円、前日比0.820円安と反落した。取引レンジは86.248円から84.888円。

10月1日午後安値79.902円を起点として上昇に入り、日足は10月20日まで10日連続の陽線で大上昇となり5月10日に付けた昨年3月底以降の最高値85.795円を超えて21日午前序盤には2018年2月以来の86円に到達、21日昼高値で86.248円まで高値を切り上げた。しかし、午後からは下落に転じると高値警戒感からの利益確定売りが急がれ、ユーロやポンド等が総じて下落したことでクロス円全般が手仕舞い売り優勢の流れとなって豪ドル円も下げ足を速め、22日未明には84.888円まで安値を切り下げた。

テクニカルポイント 「包み足」の大陰線、「化け線」として踏み止まるか試す

当日の高値からは1円を超える下落規模となる日足の大陰線で失速した状況だが、10日連続の日足陽線での大上昇後に前日の高値を更新したところから前日の安値も割り込む下落規模となった。前日の陽線を包み込む大陰線でありいわゆる「包み足」となった。

包み足やはらみ足は基調転換を招くことも多いが、連騰続きの中で高所恐怖症的な売りから一時的に急落して発生する大陰線でも、翌日に下げ止まって切り返すなら一時的狼狽を示す「化け線」として押し目買いの急所になることも多い。このため、大陰線の中心値を超える切り返しがみられる場合は上昇再開の可能性を優先し、大陰線を超える一段高に入れば先高感もさらに増すことが考えられる。ただし、連続陰線で下げる場合、特に3日連続陰線=三羽烏が発生する場合は基調転換として下落期に入ることにもなりかねない。まずは足場固めの動きに入るのか、大幅続落となるのか確り見定めが必要だ。

注目ポイント 豪5年債利回りが2019年5月以来の高水準に

豪5年国債利回りは10月20日に一時1.29%台に乗せて2019年5月以来の高水準に達した。5年債利回りは2018年4月に2.53%だったところから2020年11月には0.23%まで大幅低下したが、その後は反騰基調に入り、10月は0.77%台からの大上昇となっている。また豪10年債利回りは8月の1.05%から1.86%まで上昇して2月の1.97%へ迫っている。

豪中銀は量的緩和政策による資産購入規模を減少しつつ2022年2月まで期限を延長し、2024年までは利上げしない姿勢を繰り返し強調しているが、中銀の姿勢とは裏腹に物価上昇を踏まえて利上げ時期は中銀の予想よりも早まるのではないかとの見方が長期債利回り上昇に反映しているようだ。

米長期債利回り上昇と共に主要国の長期債利回りも上昇しており、豪5年債及び10年債利回りの上昇は豪ドル米ドルを中期的に押し上げる要因になっている。この傾向が続くうちは高値更新後に短期的な調整安を入れつつも高値追及の流れが続きやすいと思われる。

短期テクニカル分析

豪ドル円の60分足チャートにおいては概ね3日から5日周期での騰落リズムがみられる。

豪ドル円は10月1日夕安値からの上昇基調を続けてきたが、10月18日午前高値から18日夜へ下落し、その後に一段高入りしたことにより、10月18日夜安値を新たな起点とした上昇期で推移してきた。現状は21日昼高値からの急落により目先のピークを付けて下落期に入ったと思われる。安値形成期は18日夜安値を基準として21日夜から25日夜にかけての間と想定されるので既に反騰注意期にあるが、85.50円を超えないうちは一段安警戒とし、85.50円超えからは上昇再開の可能性を優先して21日昼高値試しへ向かうとみる。

60分足の一目均衡表では10月21日午後の下落で遅行スパンが悪化、深夜への続落で先行スパンからも転落した。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とし、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は30ポイント台へ低下してからは50ポイント以下での推移が続いている。50ポイントを超えないうちは一段安警戒とするが、50ポイント超えからは上昇再開の可能性ありとみる。

10月22日の売買戦略

中勢の上昇基調は継続とみるが、目先は調整安の落ち着き処を探るところとみる。大きく下げたところは買い拾われやすいと考える。

85.50円以下での推移中は戻り売り有利とし、安値更新が続くうちは84円台前半(84.50円から84.00円)を試すとみる。84.25円以下は反騰注意とするが、85.25円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。

85.50円超えからは反騰入りとみて押し目買い有利とし、21日高値86.248円試しを想定する。86円台は再び売られやすいとみるが、85.50円以上を維持しての推移なら週明けも高値試しを続けやすいとみる。

10月22日の主な予定

  • 英国
  • 15:00 9月 小売売上高 前月比 (8月 -0.9%、予想 0.5%)
  • 15:00 9月 小売売上高 前年同月比 (8月 0.0%、予想 -0.4%)
  • 15:00 9月 小売売上高・除自動車 前月比 (8月 -1.2%、予想 0.2%)
  • 15:00 9月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (8月 -0.9%、予想 -1.7%)
  • 17:30 10月 製造業PMI速報値 (9月 57.1、予想 55.8)
  • 17:30 10月 サービス業PMI速報値 (9月 55.4、予想 54.5)
  • ドイツ
  • 16:30 10月 製造業PMI速報値 (9月 58.4、予想 56.5)
  • 16:30 10月 サービス業PMI速報値 (9月 56.2、予想 55.0)
  • ユーロ圏
  • 17:00 10月 製造業PMI速報値 (9月 58.6、予想 57.0)
  • 17:00 10月 サービス業PMI速報値 (9月 56.4、予想 55.5)
  • 米国
  • 22:45 10月 製造業PMI速報値 (9月 60.7、予想 60.3)
  • 22:45 10月 サービス業PMI速報値 (9月 54.9、予想 55.1)
  • 23:00 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、講演
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