豪ドル円見通し 中国恒大の部分デフォルト認定でリスク回避の下落

豪ドル円見通し 中国恒大の部分デフォルト認定でリスク回避の下落

おはようございます。大塚亮です。

2021年12月10日の相場分析です。

概況

豪ドルの12月9日終値は81.086円、前日比0.445円安と反落した。取引レンジは81.664円から80.925円。

オミクロン株に対する過剰な不安心理が後退したことでリスク選好感が回復して豪ドル円は12月3日安値78.787円から反騰に転じ、12月6日から8日まで3日連続の日足陽線でV字反騰となり12月9日未明には81.710円まで高値を切り上げてきた。

10月21日高値からの大幅下落が一巡して出直りに入った印象だったが、12月9日夕刻に中国恒大集団に対する部分的デフォルト認定が報じられたことから再びリスク回避型の動きとなり、豪ドル米ドルが下落するとともにクロス円全般が下落、豪ドル円も4日ぶりの日足陰線で反落した。

注目情勢 中国恒大集団の部分的デフォルト認定

フィッチ・レーティングスは12月9日夕刻に中国不動産開発大手の中国恒大集団について一部債務不履行(部分的デフォルト)と認定した。恒大集団はこれまでも経営危機が続いて債務利払いの滞り等が繰り返し報じられてきたが、同社の負債総額は今年6月時点では凡そ35兆円規模、外債では2兆円規模とされていた。

恒大集団に加えて中国不動産開発で二位の佳兆業集団についてもフィッチ・レーティングスは一部債務不履行へと格下げした。中国の大手不動産グループの相次ぐデフォルト問題により、オミクロン株への不安後退としてリスクオン優勢へと切り替わってきていた市場心理は新たなリスクオフ問題を突き付けられたことになり、今週の連騰にはブレーキがかかった印象だ。

注目材料 今晩、米CPIの発表

今晩、米11月消費者物価上昇率の発表がある。事前予想では全体の前年同月比は10月の6.2%から6.8%へ上昇、コア指数の前年同月比も10月4.6%から4.9%へ上昇するとみられている。

12月9日夜に発表された米新規失業保険申請件数は18万4000件で前週比4万3000件減、市場予想の21万5000件を下回って1969年9月以来となる低水準だった。

パンデミック発生からの最低水準であり景気と雇用の回復が進んでいることを示しているが、今晩の消費者物価上昇率も跳ね上がった状況が続けば米連銀のインフレ抑制姿勢は強まり、12月14-15日に開催されるFOMCにおいて量的金融緩和の縮小加速と利上げ想定時期の前倒しが示される可能性が高まる。その際は利上げについて相対的に消極姿勢である豪中銀とのスタンスの差から豪ドルへの売り圧力が高まる可能性も考えられる。

為替市場としてはオミクロン株への過度の不安は後退しているとはいえ欧州の感染再拡大問題もあり欧州中銀や英中銀が金融引き締めへの動きを躊躇する中で米連銀による引き締め姿勢が強調される結果になるとドル高へ進みやすくなり、中国不動産業界のデフォルト懸念も含めて豪ドルも12月6日からの反騰基調の梯子を外される可能性もあるところと注意したい。

上昇基調継続への押し目形成で踏み止まるか、下げ再開か、試されるところだ。

短期テクニカル分析

豪ドル円の60分足チャートにおいては概ね3日から5日周期での騰落リズムがみられる。

12月4日早朝安値を起点として上昇してきたが、12月9日未明高値から上げ渋りに入り9日夜には80円をいったん割り込んだため、現状は9日未明高値を起点として下落期に入っているところと思われる。安値形成期は12月4日早朝安値を基準として9日朝から13日朝にかけての間と想定されるので既に反騰注意期にあるものの、高値形成期が想定よりもやや延びたために安値形成期も延びる可能性があると注意する。強気転換には9日未明高値を超える必要がある。

60分足の一目均衡表では12月9日夜への下落で遅行スパンが悪化、先行スパンへ潜り込んで転落しつつある。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンから転落する場合は下げ足が速まりやすいと注意する。

ただし、先行スパンを上抜き返すところからは反騰入りの可能性ありとして遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は12月7日午後から9日未明への高値切り上げに際して指数のピークが切り下がる弱気逆行を見せてから9日夜に30ポイント台へ低下した。その後も50ポイント以下での推移が続いているので30ポイント割れを試す流れとみる。強気転換には55ポイントを超えてその後も50ポイント以上で推移する必要があると思われる。

12月10日の売買戦略

3連騰後の反動安局面であり、中国恒大集団のデフォルト問題をどの程度のリスクとして市場が消化するか、また今晩の米CPI発表からどう動くのか、見極めながら臨機応変に対処したいところ。

81.40円以下での推移中は一段安余地ありとし、80円台前半(80.50円から80.00円)を試す流れとみる。80円以下は反騰注意とするが、81円以下での推移が続く場合は週明けも安値試しを続けやすい状況と考える。

81.40円超えからは反騰入りの可能性ありとみて9日未明高値81.710円試しとし、高値更新からは12月3日安値を起点とした上昇基調の継続とし82.00円、次いで82円台後半を目指す流れへ進むのではないかとみる。

12月10日の主な予定

  • ドイツ
    ー16:00 11月 消費者物価指数改定値 前月比 (速報 -0.2%、予想 -0.2%)
    ー16:00 11月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 5.2%、予想 5.2%)
  • 英国
    ー16:00 10月 月次GDP 前月比 (9月 0.6%、予想 0.4%)
    ー16:00 10月 鉱工業生産 前月比 (9月 -0.4%、予想 0.1%)
    ー16:00 10月 鉱工業生産 前年同月比 (9月 2.9%、予想 2.2%)
    ー16:00 10月 貿易収支・物品 (9月 -147.36億ポンド、予想 -144.00億ポンド)
    ー16:00 10月 貿易収支・全体 (9月 -27.77億ポンド、予想 -24.00億ポンド)
  • 米国
    ー22:30 11月 消費者物価指数 前月比 (10月 0.9%、予想 0.7%)
    ー22:30 11月 消費者物価指数 前年同月比 (10月 6.2%、予想 6.8%)
    ー22:30 11月 消費者物価コア指数 前月比 (10月 0.6%、予想 0.5%)
    ー22:30 11月 消費者物価コア指数 前年同月比 (10月 4.6%、予想 4.9%)
    ー24:00 12月 ミシガン大学消費者信頼感指数速報 (11月 67.4、予想 68.0)
    ー28:00 11月 月次財政収支 (10月 -1651億ドル)
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