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こんにちは。YEN蔵です。
今週の為替相場振り返りです。
目次
今週(6月7日週)の振り返り
今週も重要なイベントが目白押しとなりましたが、残念ながら為替のマーケットのほうはあまり反応しませんでした。
10日にはECB理事会と米国のCPI(消費者物価指数)の発表がありました。最近は世界的にワクチンの接種が進み経済のリスタートが徐々に開始される中で、インフレの動向が注目されています。
ECB理事会ではPEPP(パンデミック緊急購入プログラム)の下での純資産買い入れの規模を少なくとも2022年3月末まで、もしくは感染拡大の危機が収まるまで維持すると表明しました。また向う1四半期の純買い入れはこれまでに比べて、かなり速いペースで実施されるとしました。緩和縮小の思惑もあった中で資産買い入れペースを速めるという決定にユーロは一時売られる局面もありましたが1.21台後半での動きが続いています。
もう一つの注目材料だった米国の5月の消費者物価指数は前月比0.6%上昇と予想の0.4%は上回りましたが前月の0.8%からは上昇が鈍化しました。前年比は5%と4月の4.2%、予想の4.7%を上回り2008年8月以来の高になりました。
消費者物価指数は上昇したのですが、米国の長期金利はむしろ低下してドルが下落する動きになりました。
おそらく強い消費者物価指数を警戒して事前に米国債を売る(先物を売る)ポジションがたまっており、指標発表後に金利がさほど上昇しなかったことで売っていいた債券先物の買い戻しで金利が低下する動きになったのでしょう。
結局ドル円は109.80付近に上昇しましたが、米長期金利の低下とともに109.30付近まで下落しました。
来週はFOMCに注目
現在の経済はコロナ下の経済減速からワクチン接種の拡大で徐々に正常化に戻る途中です。金融政策のほうも経済の回復にそっていずれは現状の緩和策を終了する必要があります。
その中で米国の動きが一番注目され、米国の金融政策を占ううえで重要なイベントであるFOMC(連邦公開委員会)が来週の15~16日に行われ16日未明に結果が発表されます。
消費物価指数が上昇する中で市場ではFRB(連邦準備銀行)が近いうちに債券買い入れの縮小(ティーパリング)に向かうのではないかとの思惑がくすぶっています。
債券買い入れ縮小に向かえば米国債が売られて金利が上昇する可能性があるので、そうなると株価も下落するのではないかというのが市場が危惧しているところです。
経済が十分に回復して雇用も回復して賃金が上昇して物価が上昇するのは健全な経済の回復です。しかし現在の米国はいまだに1000万人ほどの人が失業保険の給付を受けています。今の段階で量的緩和の縮小など出口戦略に向かう動きは経済の腰を折るのではとの懸念がFOMCが出口に向かう動きを躊躇している原因です。むしろ市場の思惑を抑えるように出口戦略は時期尚早というサインを出しています。
今回のFOMCでも緩和の縮小は時期尚早というサインを出し続ければ、米長期金利は落ち着きドルの上昇も限定的になると思います。
しかしさすがに少し緩和縮小へのサインを出すようであれば、長期金利が上昇してドルが上昇することになるので16日の早朝の動きには注目が必要です。
注目通貨はドル円
米国の金融政策と長期金利の動きの重要さはご理解いただけたと思います。今(昔からですが)米国の長期金利の動きに敏感に反応するのはドル円です。先週も書きましたがドル円は109円付近のサポートが中期的に重要なポイントです。
FOMCの結果にもよりますが、現状維持で緩和縮小のサインを出さなくても大きなドル売りにはならないと考えています。
109.30付近には一目均衡表の基準線と25日移動平均線が位置しています。ここが短期的にはサポートされ、ここが下抜けしても109円付近に一目均衡表の雲の上限が位置していますから109円も支えられるでしょう。
109.00~30のゾーンが維持されるようならドル円の上昇トレンドは継続とみています。(これは先週のリポートに書きました)
一方で109.75付近には一目均衡表の転換線が位置し、ここが短期的なレジスタンスになっています。このレベルを上抜けできれば4日の高値110.30付近への上昇を予想します。
一方で109円を下抜けしてしまうと一目均衡表の雲の下限が位置する108円付近への下落を予想します。
RSIも横ばいですが50%付近で推移しており勢いがない相場が続いています。