豪ドル円 80円割れからやや戻す

豪ドル円 80円割れからやや戻す

おはようございます。大塚亮です。

2021年9月16日の相場分析です。

概況

豪ドルの9月15日終値は80.200円、前日比0.0.098円安と続落した。取引レンジは80.350円から79.823円。

8月20日安値77.896円からのV字反騰が9月3日高値82.023円でピークアウトとなり、9月7日に81.982円までいったん戻したものの届かずにダブルトップとなり下落に転じてきた。7日は豪中銀のロウ総裁が金融緩和継続姿勢と低金利の維持姿勢を示したことで豪ドル売りが進んだが、その後も米連銀のテーパリング開始姿勢を背景としたドル高に圧される展開で安値を切り下げてきた。

豪ドル米ドルは9月15日午前安値で0.730ドルまで下げたところからはややジリ高で戻しているが、ドル円が15日夜に109.09円まで急落したため、豪ドル円は円高に圧されて21時台にこの日の安値となる79.823円へ続落、8月30日以来の80円割れとなった。深夜からはドル円の急落も一服となりやや持ち直し、豪ドル米ドルのジリ高も継続したことで豪ドル円は80円台序盤を回復している。

テクニカルポイント 半値押し

8月20日安値77.896円からのV字反騰で9月3日高値82.023円まで4.127円の円安豪ドル高だったが、その半値押しが79.960円であり9月15日夜安値で到達した。半値押しレベルで下げ止まり、足場を固めて直前の下げ幅の半値以上を解消する反騰に入れば押し目形成として9月3日と7日の両高値によるダブルトップラインを超える上昇へ進む可能性も浮上するが、半値押しレベルで下げ止まれなければ3分の2押しラインの79.272円、4分の3押しラインの78.928円、さらに8月20日安値77.896円への「往って来い」まで下値目途も切り下がってゆく可能性があるところだ。

主要国が量的緩和縮小から利上げへ向けた金融政策の正常化へ進見始める中で、豪中銀としては7-9月期のマイナス成長やその後の回復度合いを見定める必要があり、量的緩和の期間延長や利上げ想定時期の先送り等により景気刺激を続ける必要に迫られており、正常化プロセスの出遅れ感が豪ドル売り材料となってきている事を踏まえると、9月15日安値をさらに割り込む展開となる場合は3分の2押し、4分の3押し等を順次試してゆく可能性も高まると警戒される。

注目材料 中国の景気回復鈍化の影響

9月15日に発表された中国の8月鉱工業生産は前年同月比13.1%増で7月の14.4%増から伸びが鈍化した。8月の小売売上高も前年同月比で2.5%増にとどまり7月の8.5%増から大幅に鈍化した。先週の9月9日に発表された8月の生産者物価上昇率が前年同月比で9.5%上昇となり7月の9.0%から伸びているが消費者物価は同0.8%上昇にとどまり7月の1.0%から鈍化している。8月末に発表された国家統計局の8月製造業PMIが50.1で7月の50.4から低下、サービズ業PMIは47.5で7月の53.3から大幅に悪化した。

中国の感染拡大は抑えられているがデルタ株の侵入による感染拡大地域も見られて不透明感が出ている。パンデミックから早く立ち直った中国経済ではあるが、アジアの感染爆発による影響もあって景気回復に鈍化の兆しが見えていることは、オーストラリアとしては最大の貿易相手国の需要低下懸念にもつながりかねないところだ。

オーストラリア自身も4-6月期の景気は良かったもののデルタ株感染爆発とロックダウンの影響で7-9月期はマイナス成長が見込まれている。既発ではあるが、AiGによる8月の製造業PMIは7月の60.8から51.6へ悪化、サービス業PMIは7月の43.3から42.9へと悪化している。9月14のNAB企業信頼感や景況感は改善したものの感染拡大の収束が見えないことには楽観できない状況だ。

注目材料 8月の豪雇用統計

9月16日午前発表の豪8月雇用統計では、新規雇用者数が14.63万人減少となり7月の2200人増から大幅に悪化、市場予想の9万人減を大幅に割り込んだ。失業率は4.5%となり7月の4.6%から改善、市場予想は4.9%への悪化だったが改善した。求職者の減少による失業率改善といえるが、新規雇用者数の予想を超える減少がデルタ株感染拡大によるロックダウンの影響を直に反映したと思われる。フルタイム労働者は6.8万人減少で7月の4.2万人減少に続いて大幅な減少だった。

発表後の豪ドル米ドルは若干の乱高下からやや下落反応となっている。

短期テクニカル分析

60分足チャートにおいては概ね3日から5日周期での騰落リズムがみられる。

豪ドル円は9月3日夜高値と7日午後高値を60分足レベルのダブルトップからの下落が10日午前安値で一服となり10日夕刻へいったん戻したものの既に底割れとなったため、14日午前時点では10日夕高値を起点とした下落期入りとして安値形成期を15日午前から17日午前にかけての間と想定した。

15日夜安値で80円を割り込んだところから戻しているため15日夜安値で目先の底を付けて戻りを試しつつあるところと思われる。このため15日夜安値割れ回避のうちは16日の日中から17日夜にかけての間への上昇を想定するが、15日夜安値割れからは新たな下落期入りとして20日夜から22日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では9月15日夜安値からの反発で遅行スパンが好転しつつあり、先行スパンの下限に迫っている。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とする。先行スパンが抵抗帯となりやすいため、突破できないか一時的に突破しても早々に転落する場合は遅行スパンが再び悪化するところからは下げ再開とする。

60分足の相対力指数は15日午前から夜にかけての一段安に際して指数のボトムが切り上がる強気ダイバージェンスとなってから上昇している。目先は戻りやすいとみて40ポイント台を維持するうちは60ポイント台への上昇余地ありとするが、9月3日からの下落基調はなお継続中として40ポイント割れからは下げ再開とみる。

9月16日の売買戦略

9月3日と7日の両高値をダブルトップとした下落基調の継続中とみるが、目先は15日夜安値からの戻りを試しやすい局面とみる。80円台を維持するうちは80.50円から80.75円にかけてのゾーンを試すとみるが、そこは戻り売りにつかまりやすいとみる。

80円割れからは15日夜安値79.823円試しとし、底割れからは79.50円、さらに79.25円から79.00円を順次試す流れとみる。

9月16日の注目指標

  • ユーロ圏
  • 18:00 7月 貿易収支・季調済 (6月 124億ユーロ、予想 149億ユーロ)
  • 18:00 7月 貿易収支・季調前 (6月 181億ユーロ)
  • 米国
  • 21:30 8月 小売売上高 前月比 (7月 -1.1%、予想 -0.8%)
  • 21:30 8月 小売売上高・除自動車 前月比 (7月 -0.4%、予想 -0.1%)
  • 21:30 9月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (8月 19.4、予想 18.8)
  • 21:30 新規失業保険申請件数 (前週 31.0万件、予想 33.0万件)
  • 21:30 失業保険継続受給者数 (前週 278.3万人、予想 278.5万人)
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