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おはようございます。大塚亮です。
2021年11月2日の相場分析です。
目次
概況
ポンド円の11月1日終値は155.756円、前日比0.258円安と続落した。取引レンジは156.492円から155.607円。
10月1日からの上昇で10月20日には158.219円の高値を付けて昨年3月底以降の高値を更新、ここ数年間の壁であった156円台を超えてきたが、その後は調整安につかまっている。
先週の日銀、ECBの金融政策決定会合に続き、今週は豪中銀、米連銀のFOMC、英中銀MPCが予定されているが、特に米連銀のFOMCでの政策スタンスを見極めたいとして10月の上昇一服からポジション調整的な下落に入っている印象だ。
注目情勢 英仏の漁業権対立
先週末からユーロドルが乱高下しているが、11月1日はユーロドルが週末の急落幅のおよそ半値を解消する上昇だったのに対して、ポンドドルは29日の急落をひきずってさらに安値を切り下げている。米経済指標の良し悪しとECBの金融政策姿勢への思惑が交錯してユーロが28日夜に急騰、29日夜は逆に一段安、1日は反騰と乱調な動きだが、ポンドドルは28日から29日の動きではユーロドルと概ね同調していたが、1日のユーロ上昇とは逆に下げている。EU離脱後の英仏間の漁業権を巡る対立が英国にはマイナスとなっていることでポンドがユーロに対して売られていることも影響している印象だ。
英国のEU離脱後において、英仏は両国は両国の領海内で双方の操業を許可しているが、フランスは離脱協定で認められるべき英国了解内での操業権の半分しか付与されていないとし、英国はEUとの合意を遵守していると反論している。フランスの領海内で操業していた英国のホタテ漁船がフランスの巡視船に拿捕される事件も発生した。
ジョンソン英首相とマクロン仏大統領はG20首脳会談の合間で10月31日、11月1日に協議をしているが、まだ合意に至っていない。フランス側は英国に対する制裁リストを公表したが、11月1日時点では二国間協議を継続するとして制裁発動を見送っている。
注目材料 10月の英製造業PMIは好調
11月1日にIHSマークイットが発表した10月の英製造業PMI改定値は57.8となり速報値の57.7からわずかながら上方修正されて9月の57.1からは上昇した。前月比でのプラスは5か月振りであり、ロックダウン解除による経済活動活発化を背景に景気も持ち直している印象だが、コロナ禍とEU離脱後の混乱による物流停滞の影響は残っており、エネルギー価格高騰によるコスト増も重石となって10月の生産指数は9月の52.7から51.3に低下して8か月振りの低水準となったことは気になる点だ。
11月3日には10月のサービス業PMI改定値の発表があるが、市場予想は速報の58.0から変わらずとみている。
注目ポイント ポンドドルの下落
ドル円の上昇一服と、ポンドドルの反落継続がポンド円の上値を重くしている状況だが、特にポンドドルの下落が目立つところだ。11月4日には英中銀金融政策決定会合があり、そこでは利上げも予想されているのだが、利上げの可能性については五分五分とも見られており、利上げが景気回復の足かせになるのではないかとの懸念もあるところだ。
ポンドドルは9月29日安値1.34120ドルを起点として10月20日高値1.38339ドルまで上昇してきたが、1.380ドル台到達では上値が重くなり、10月29日には1.3668ドル台へ失速した。6月1日に1.42493ドルの高値を付けて昨年のコロナショック以降の最高値としたが、その後は7月30日の戻り高値1.39025ドル、9月14日の戻り高値1.39122ドル、10月20日高値1.38339ドルと戻り高値は切り下がり基調から抜け出せずにいる。
1.350ドル台中盤を維持する程度までの下落で押し目形成としてその後の上昇で高値切り上げに入れば9月29日安値を中心として逆三尊型の底打ちパターンを形成して反騰入りへ向かう可能性が考えられるが、1.350ドル台序盤へ突っ込み、さらに1.350ドルを割り込むような下落となる場合は6月1日天井からの下落基調継続となり9月29日安値割れへ向かう懸念も出てくる。
11月4日未明の米FOMC、4日夜の英中銀MPCを通過して反騰入りできるか、一段安懸念が強まるのか試されるところだ。
短期テクニカル
ポンド円の60分足レベルでは概ね3日から5日周期での底打ちとピークアウトを繰り返すリズムがある。
10月29日午前時点では、10月27日夜安値を目先の底として戻しに入った状況とし、高値形成期を10月29日夜から11月2日夜にかけての間と想定したが、29日夜の急落で27日夜安値に迫ったために11月1日午前時点では10月29日夜高値を起点として新たな下落期に入っているとし、11月1日夜から3日夜にかけての間への下落を想定した。
11月2日午前も安値を切り下げているのでまだ一段安余地ありとみるが、既に反騰注意期にも入っているので156円超えを強気転換注意とし、156.50円超えからは上昇期入りとして11月3日夜から5日夜にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では10月29日夜の下落で先行スパンから転落、遅行スパンも悪化したが、その後も両スパン揃っての悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。強気転換は先行スパンを上抜き返すところからとし、その際は遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は50ポイント前後が抵抗となって軟調な推移のため、50ポイント以下での推移中は30ポイント割れから20ポイント前後を試す可能性もあるとみる。50ポイント超えからは反騰入りとして60ポイント台中後半への上昇を想定する。
11月2日の売買戦略
10月からの上昇一服による調整期だが、右肩下がりの展開が続いているので戻り売り有利の情勢と考える。
156.0円から156.30円までのゾーンは戻り売りにつかまりやすいとみる。155.50円以下での推移が続く場合は155.00円、154.75円、154.50円を順次試す可能性があるとみる。
156.50円超えからは反騰入りとして157円前後試しとするが、10月29日夜高値157.090円を超えない程度にとどまり戻り幅の3分の1を削る場合は下げ再開を疑う。
11月2日の主な予定
- 欧州
- 17:55 10月 独製造業PMI改定値 (速報 58.2、予想 58.2)
- 18:00 10月 欧製造業PMI改定値 (速報 58.5、予想 58.5)