豪ドル円 7月20日安値を割り込んでからの下落続く、ロックダウン長期化が圧迫

豪ドル円 7月20日安値を割り込んでからの下落続く、ロックダウン長期化が圧迫

豪ドルの8月20日終値は78.396円、前日比0.079円安と小幅続落した。取引レンジは78.627円から77.896円。
8月17日に7月20日安値を割り込んで下げ渋り型の持ち合いから下放れに入り、8月19日には前日比0.949円安の大幅下落となり、20日も夕刻安値で77.896円まで下落してこの間の安値を更新、昨年12月23日以来の78円割れの水準となったが、その後はドル全面高が一服となり週末の買い戻し心理も重なって下げ幅を削った。週明けの23日午前はやや買い戻し優勢の動きだが勢いには欠け、78円台後半での推移となっている。

為替市場全般は8月4日夜の米ISMサービス業景況指数が予想を大きく超えたところからドル高へ進み、8月6日の米雇用統計が予想以上の改善だったことでドル円の上昇が勢い付いたために豪ドル円は8月4日深夜安値80.152円から8月11日夜高値81.574円まで上昇していた。しかし8月11日の米7月コアCPI上昇率が前月から鈍化したためにドル円が下落に転じ、13日のミシガン大消費者信頼感指数の悪化、16日のNY連銀製造業指数の悪化がドル円の下落を加速させてる中、豪ドル米ドルが勢いに欠けてレンジ相場を続けていたために豪ドル円はドル円の動向に左右されて下落した。8月17日からはドル全面高の様相が濃くなる中、豪ドル米ドルの下落が強まる一方でドル円が19日夕安値からは下げ渋りに入ったために豪ドル円は豪ドル米ドルの下落に押される展開で8月20日まで下落が続いた。

豪ドル円が上昇基調にある場合は豪ドル米ドルの上昇と同調した高値追及の流れを基本としつつ、豪ドル米ドルが反落したところではドル円の上昇が支えて確りするものだが、下落基調に入るとドル円の下落圧力と豪ドル米ドルの下落圧力が交互にかかって下落基調からなかなか抜け出せなくなる事も多い。

注目情勢 オーストラリアの感染拡大止まらず

オーストラリア東部のニューサウスウェールズ州政府は8月20日に州都シドニーで実施しているロックダウンを9月末まで約1か月延長すると発表した。同州では20日に644人の市中感染者が発生している。元々は7月30日を期限としたロックダウンだったが、7月28日に4週間の延長を決定していたところ、今回さらに延長となった。
ビクトリア州のメルボルンのロックダウンも8月12日に終了予定だったが8月11日に8月19日まで延長され、さらに9月2日まで再延長されている。
8月22日のオーストラリア全土の新規感染者は914人となり第二波のピークだった昨年6月30日の721人を超えて過去最多となっている。モリソン首相はロックダウン政策はワクチン接種率が70%に達するまで堅持するがその後はコロナとの「共存」が可能と述べている。ウィズ・コロナ戦略は今後のブレイクスルー感染状況にも左右されると思われる。

オーストラリアがロックダウンからなかなか抜け出せなくなっていることが豪ドルへの売り圧力を増しているが、豪10年債利回りは先週末に1.05%まで低下して3月31日に1.78%のピーク以降の最低水準となっている。感染拡大による豪景気の鈍化に加え、アジアでのデルタ株感染爆発が世界的な製造ラインへの支障を発生させていることから原油相場が下落し、豪中銀も9月から開始するとしていた量的緩和の縮小を躊躇し始める状況にあり、リスク回避的な債券買いにより利回り低下が顕著となり、豪10年債利回りの低下傾向=豪ドル売りという印象が強まっている。
8月27日にパウエル米連銀議長がジャクソンホール会合で講演するが、米連銀が量的緩和縮小開始へ動き始める中で豪中銀とのスタンスの差、両国の景気回復へ信頼感の差が豪ドルへの売り圧力を増してゆきやすい情勢と思われる。

中勢テクニカルポイント 週足の遅行スパン悪化

月足チャートではこの3か月間が連続の陰線引けとなりつつあるが週足チャートにおける各種テクニカルの悪化も顕著だ。週間では前週末終値の80.767円から20日終値78.396円まで2.371円安の大幅下落となった。
週足チャートでは7月序盤の下落で昨年3月底以降の階段上り型の上昇を続けてきた一目均衡表の26週基準線を割り込んだが、先週は26週基準線自身も前週から低下に転じた。昨年10月末の下落時においても26週基準線が下値支持線となって一段高への起点となったのだが、同線を割り込んでからさらに続落となり週足レベルの上昇基調が崩れていることが印象付けられている。週足の遅行スパンも先週の続落で悪化=実践を割り込んでいるが、昨年5月に好転=実線を超えて以降初めての悪化となった。

相対力指数の14週線も3月高値から5月10日高値へと一段高した際には指数のピークが切り下がる弱気逆行となり7月に入ってから強弱分岐点の50ポイントを割り込んで低下を続けている。
昨年3月底からの上昇は今年5月10日高値まで61週となったが、2016年6月24日底から2017年9月21日他姉までの上昇期が66週で天井を付けており、今回も同規模の上昇期を得てピークアウトしている印象だ。このため、短期的なリバウンドを入れつつも戻り売り優勢の展開でさらに安値試しへ向かいやすい中勢の状況と言えそうだ。

短期テクニカル分析

豪ドル円は8月11日夜高値をピークとした下落が8月18日午前安値で一服していたが、18日午前安値を割り込んでから下げ足を速めて20日夕刻へ一段安となった。その後は突っ込み警戒感と週替わりによる市場心理の落ち着きでやや買い戻されているものの、下げ一服での買い戻しを超える勢い及び材料を得られるのかどうかについては疑問符も付くところ。
目先は8月20日夕安値からの買い戻しで高値を試しやすいとみるが、79円台前半では戻り売りも出やすいと思われる。20日夕安値を割り込む場合は概ね3日から5日周期の底打ちリズムを踏まえれば次の安値形成期となる25日の日中から27日夜にかけての間へ安値試しを続けやすくなると思われる。

60分足の一目均衡表では8月19日午後からの一段安で遅行スパンが悪化し、先行スパンからの転落も続いている。安値更新を回避すれば遅行スパンは好転しやすくなるので遅行スパン好転からは高値試し優先とするが、先行スパンが分厚い抵抗帯となりそうだ。先行スパンを突破できないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開と考える。

8月23日の売買戦略

目先は買い戻しの水準を探る展開中とみるが、戻りは長続きしないとみて段階的な戻り売り有利の状況と考える。
78.70円台から79.20円台にかけては戻り売りにつかまりやすいとみる。
8月20日夕安値77.896円割れからは追撃売りの様相となりやすいと考え、77.50円、77.00円、76.75円を段階的に試す流れとみる。

8月23日の注目経済指標

  • ドイツ
  • 16:30 8月 製造業PMI速報値 (7月 65.9、予想 65.0)
  • 16:30 8月 サービス業PMI速報値 (7月 61.8、予想 61.0)
  • 17:00 8月 製造業PMI速報値 (7月 62.8、予想 62.0)
  • ユーロ圏
  • 17:00 8月 サービス業PMI速報値 (7月 59.8、予想 59.5)
  • 23:00 8月 消費者信頼感速報値 (7月 -4.4、予想 -5.0)
  • 米国
  • 22:45 8月 製造業PMI速報値 (7月 63.4、予想 62.8)
  • 22:45 8月 サービス業PMI速報値 (7月 59.9、予想 59.3)
  • 23:00 7月 中古住宅販売件数・年率換算件数 (6月 586万件、予想 583万件)
  • 23:00 7月 中古住宅販売件数 前月比 (6月 1.4%、予想 -0.5%)
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