豪ドル円 ドル全面安継続での豪ドル高を背景に81円台を回復

豪ドル円 ドル全面安継続での豪ドル高を背景に81円台を回復

おはようございます。大塚亮です。

2021年9月2日の相場分析です。

概況

豪ドルの9月1日終値は81.063円、前日比0.604円高と大幅上昇した。取引レンジは81.220円から80.383円。

8月20日夕安値77.896円を起点として上昇してきたが、1日は午前の豪GDPが予想を上回ったことで豪ドル買いが進み、ドル円も31日深夜にいったん急落したところからの反騰を継続して夕刻に110.40円台へ一段高したために豪ドル円は夕刻高値で81.135円へ一段高となり、夜のドル安局面でドル円が反落したものの豪ドル米ドルの上昇が継続したことで深夜には81.220円まで高値を伸ばした。

注目材料 豪GDPは予想を上回る

9月1日にオーストラリア統計局が発表した4-6月期のGDPは前期比0.7%増となり市場予想の0.5%を上回ったが1-3月期の1.9%を下回った。前年同期比は9.6%増となり市場予想の9.2%を上回り1-3月期の1.3%から大幅に伸びた。設備投資は前期比3.2%増となり1-3月期の5.5%からは伸びが鈍化した。消費は前期比1.2%増で1-3月の0.8%増から上昇、GDPデフレーターは前期比2.5%上昇で1-3月の1.8%から伸びが加速した。

感染拡大の影響により予想よりも悪い可能性も懸念されていたが前期比及び前年同期比も予想を超えたことで市場には豪ドル買い要因となった。発表当初の市場反応はやや鈍かったものの、徐々に豪ドル買い材料と認識されて豪ドル米ドルは31日夕高値を超える一段高へ進んだ。仮に予想を下回る成長率だった場合、豪中銀による量的緩和縮小の延期や景気刺激策の再構築等も議論されかねないところだったが、ひとまず無難に通過したといえる。

注目材料 米ADP予想外に低調で週末の米雇用統計も低調な可能性

9月1日には米ADP民間雇用報告があったが、非農業部門民間就業者数は市場予想を大幅に下回る37.4万人増にとどまった。この発表からドルは全面安となったが、今週末の米労働省雇用統計でも低調な数字になるとすれば米連銀のテーパリング(量的金融緩和による債券等購入の縮小)開始も遅くなると受け止められた。

米ADP統計と労働省統計とではサプライズ的に異なることもあり、公共部門や集計のズレ等も踏まえて発表を見ないことには何とも言えないところもあるが、8月27日のパウエル米連銀議長によるジャクソンホールでの講演内容が「年内にテーパリングを開始するのは妥当としながらも早計な利上げはしない」と強調したことによるドル安感は継続しやすくなったと思われる。

テクニカルポイント V字反騰の継続

豪ドル円は7月20日安値79.833円から下げ渋りの横ばい持ち合いを続けていたところから下放れして8月20日安値77.896円まで一段安してきたが、8月23日からの3連騰(赤三兵)によりV字反騰に入り、直前の急落分をほぼ解消するところまで戻している。一段安する前の持ち合い中の高値は7月23日の81.659円でまだ届いていないが、これをクリアすれば5月10日天井85.795円からの下落一巡による上昇期入りとなる可能性も高まると思われる。米雇用統計前にはポジション調整的な下げも入りやすいところだが、逆に強気継続を先取りした動きで高値追及へ進む可能性もあり、今晩の米週間失業保険申請件数等を見てドル安豪ドル高が進むようだと、多少の円高でも豪ドル円は高値切り上げへ進みやすい状況と思われる。

短期テクニカル分析

60分足チャートにおいては概ね3日から5日周期での騰落リズムがみられるが、豪ドル円は8月20日夕安値を起点として上昇期に入り、8月26日朝高値でいったんピークを付けたものの8月20日夕安値から5日目となる8月27日午前安値で底を付けて新たな上昇期に入ってきた。9月1日深夜へ一段高しているのでさらに高値更新へ進む可能性を継続しているが、目先は81円台到達による高値警戒感もあって利益確定売りも出やすいところと注意する。

このため9月1日深夜高値を超えないうちは2日の日中から3日午前にかけての間への下落余地ありとみるが、9日1日深夜高値超えからは新たな上昇期に入るとみて9月6日夜から8日夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では8月27日夜の一段高で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜き返したが、その後も両スパン揃っての好転が維持されてる。ただし新たな高値更新へ進めないと遅行スパンは悪化しやすくなる。先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後の好転からは上昇再開とみるが、先行スパン転落からはいったん大きめの調整安に入ると警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は9月1日夕刻から深夜への一段高に際して指数のピークが切り下がる弱気ダイバージェンスがみられるため下げやすいところとし、50ポイント割れから続落の場合は30ポイント台への低下を想定する。ただし60ポイント超えから続伸の場合はさらに高値更新へ進む可能性が高まるとみる。

9月2日の売買戦略

8月20日からの上昇基調は継続中であり、週末の米雇用統計も上昇基調の中で通過する可能性があるとみて押し目買い有利の情勢と考える。80.50円以上での推移中は高値更新から81円台後半(81.50円から82円手前)を目指す流れとみるが、80.50円割れからはいったん80円台序盤(80.30円から80.00円)を試すとみる。80円台序盤は押し目買いされやすい水準とみる。

9月2日の注目経済指標

  • ユーロ圏
  • 18:00 7月 生産者物価指数 前月比 (6月 1.4%、予想 1.1%)
  • 18:00 7月 生産者物価指数 前年同月比 (6月 10.2%、予想 11.0%)
  • 米国
  • 21:30 4-6月期 非農業部門労働生産性改定値 前期比 (速報 2.3%、予想 2.4%)
  • 21:30 新規失業保険申請件数 (前週 35.3万件、予想 34.5万件)
  • 21:30 失業保険継続受給者数 (前週 286.2万人、予想 277.5万人)
  • 21:30 7月 貿易収支 (6月 -757億ドル、予想 -710億ドル)
  • 23:00 7月 製造業新規受注 前月比 (6月 1.5%、予想 0.3%)
  • 26:00 ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演
豪ドル見通し5年後 豪ドルの5年後見通しは?100円超えの可能性や相場分析から見る買い時とは【2022年最新】