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おはようございます。大塚亮です。
2021年9月21日の相場分析です。
目次
概況
豪ドル円の9月20日終値は79.328円、前日比0.539円安と続落した。取引レンジは79.956円から79.050円。
8月20日安値77.896円からのV字反騰が9月3日高値82.023円で一巡となり、米雇用統計通過後のドル全面高による豪ドル米ドルの下落により9月3日高値と9月7日の豪中銀金融政策発表直後の高値81.982円で日足の毛抜き天井(60分足でのダブルトップ型)形成となり、その後は戻り高値を切り下げつつ安値更新が続いてきた。
9月14日から17日にかけては米長期債利回りが連日の上昇となりドル高感が強まったことで豪ドル米ドルの下落が続き、ドル円が15日夜から17日夜にかけて上昇したことで豪ドル円は多少支えられて15日夜、16日夜の80円割れを切り返して17日夕刻には80.50円までいったん戻していたが、週明けの20日は豪ドル米ドルが夜へ続落、ドル円も急落したことで豪ドル円は豪ドル安と円高が重なって20日夜にはこの日の安値となる79.050円まで失速した。79円割れはひとまず回避し、21日の午前序盤はドル円がやや買い戻されていることと豪ドル米ドルの下げも一服していることでやや持ち直している。
中国恒大のデフォルトショック
中国不動産デベロッパー大手の中国恒大集団が債務不履行に陥る可能性があると週末に報道されたが、同社は主要金融機関に対して9月20日の融資利払いが行えないと通告した。9月23日には同社の社債が利払い期日となっており債務不履行=デフォルトに陥るのではないかと警戒されている。恒大は凡そ3000億ドル規模の債務不履行が発生する可能性があるとされている。
過剰投資がコロナショックの影響もあって資金循環が滞りデフォルトの連鎖が発生するということはリーマンショック等のバブル型好景気の末期に繰り返し発生してきた。今回の恒大二夜デフォルトからリーマンショック型の金融危機にまで発展するとの懸念はまだ強くないが、9月20日と21日は中国市場が中秋節で休場のため、休場明けとなる22日の上海市場がどの程度の反応になるのか、それを見て世界連鎖株安が深刻化するのかどうか、注目されるところだ。
9月20日のNYダウはこの問題や9月23日未明に政策発表のある米FOMCが迫っていること、米連邦政府の債務上限問題が行き詰まっていることなどからリスク回避的な売りに圧されて前日比614.41ドル安(1.8%安)と下落、ナスダック総合死すは2.2%安、SP500指数も1.7%安と大幅下落した。豪AORD株価指数も17日に前日比56.9ポイント安、20日には165.0ポイント安と大幅続落したが、21日午前も続落気配での推移となっている。
豪経済にとっては最大の輸出先である中国景気が今回の恒大デフォルト問題から急激に悪化するようだと打撃も大きくなり、デルタ株感染拡大による7-9月期のGDPのマイナス成長懸念と合わせて豪株及び豪ドルへの売り圧力も強まりかねない。またその際に株安によるリスク回避感が強まればクロス円全般での円高圧力も重なる可能性もあるところだ。
テクニカルポイント V字反騰の3分の2押しラインを割り込む
豪ドル円は概ね3か月から4か月周期のサイクルで底打ちを繰り返しており、7月20日安値を直近の底としてV字反騰してきたが、9月3日と9月7日の両高値を毛抜き天井型として下落に転じた。
8月20日安値77.896円からのV字反騰で9月3日高値82.023円までの上昇幅4.127円に対する半値押しラインの79.960円を9月15日夜安値で割り込んだため、3分の2押しラインの79.272円で踏み止まれるか試されていたが、20日の下落で79.050円まで下げたことで同ラインを割り込んだ。
9月3日高値の翌日から5日連続の日足陰線で下落し、9月13日に小休止の陽線1本を入れたものの9月14日から2日まで再び5日連続の日足陰線で下落した。9月21日はやや下げ渋りで日足は6日ぶりの陽線気配も見えるところだが、前回同様に1日の陽線で下げ渋っても再び連続陰線で下げ始めれば7月20日安値割れへ向かいかねないところだ。仮に底割れとなれば概ね3か月から4か月周期の底打ちサイクルにおける次の底底形成期となる11月末から12月半ばにかけての間へと下落基調が続きかねないと警戒される。9月22日の休場明け上海市場動向と世界連鎖株安のレベル、9月23日未明の米FOMCに対する市場反応等によっては7月20日安値割れへ進む可能性もあるところと警戒したい。
短期テクニカル分析
60分足チャートにおいては概ね3日から5日周期での騰落リズムがみられる。
豪ドル円は9月3日夜高値と7日午後高値を60分足レベルのダブルトップからの下落基調が続いているが、9月15日夜と16日夜に80円を割り込んだところから17日夜高値まで戻したものの、その後に一段安しているため、現状は9月17日夜高値を起点とした下落期にあると思われる。安値形成期は21日夜から23日夜にかけての間と想定されるのでまだ一段安余地ありとみるが、80円台回復まで戻すならいったん反騰域入りとして22日夜から24日夜にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では9月17日夜からの急落で遅行スパンが実線を割り込んで悪化、先行スパンからも再び転落した。20日夜安値からは下げ渋りに入ってややジリ高のために遅行スパンは好転しやすい位置にあるが、先行スパンを上抜けないうちは一時的に遅行スパンが好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とみる。強気転換は先行スパンを上抜き返すところからとする。
60分足の相対力指数は20日夜安値で20ポイントまで低下してから50ポイント到達まで戻しているが、相場が安値を更新する際に指数のボトムが切り上がる強気ダイバージェンスがみられないので、50ポイント台では戻り売りにつかまりやすいとみて40ポイント割れからは下げ再開を疑う。
9月21日の売買戦略
9月3日と7日の両高値をダブルトップとした下落基調の継続中とし、戻り高値切り下げ型の中で推移しているので現状も戻り売り有利の展開とみる。21日の戻り抵抗は80円手前までとみるが、9月7日以降の戻り高値を結ぶ上値抵抗線は80円台序盤に来ているので、仮に80円台序盤へ戻す場面あれば戻る売りされやすいとみる。20日夜安値割れからは78.50円前後、さらに78円台序盤を目指す流れとみる。
9月21日の注目指標
- 休場 中国、台湾、韓国
- 日銀金融政策決定会合の初日、米連邦公開市場委員会(FOMC)の初日
- 政策金利発表 インドネシア、スウェーデン ハンガリー
- OECD世界経済見通し
- オーストラリア
- 10:3 豪中銀、金融政策会合議事要旨公表
- ユーロ圏
- 16:05 デギンドスECB副総裁、講演
- 米国
- 21:30 4-6月期 経常収支 (1-3月 -1957億ドル、予想 -1900億ドル)
- 21:30 8月 住宅着工件数・年率換算件数 (7月 153.4万件、予想 155.5万件)
- 21:30 8月 住宅着工件数 前月比 (7月 -7.0%、予想 1.0%)
- 21:30 8月 建設許可件数・年率換算件数 (7月 163.5万件、予想 160.0万件)
- 21:30 8月 建設許可件数 前月比 (7月 2.6%、予想 -1.8%)
- 26:00 財務省20年債入札