豪ドル円 豪中銀はテーパリング開始するも期間延長で豪ドル安に

豪ドル円 豪中銀はテーパリング開始するも期間延長で豪ドル安に

おはようございます。大塚亮です。

2021年9月8日の相場分析です。

概況

豪ドルの9月7日終値は81.481円、前日比0.218円安と下落した。取引レンジは81.982円から81.281円。

9月7日13時半に発表された豪中銀の金融政策を巡り、当初は予定通りの量的緩和縮小開始方針が示されたことでいったん豪ドル買いとなり発表直後に81.982円へ上昇して9月3日夜の米雇用統計発表直後に付けた高値82.023円に迫った。しかし量的緩和による債券購入期間を延長するとしたことで豪ドル売りへと急旋回して81.378円へ失速、いったん下げ渋るも夜にかけて為替市場がドル全面高の様相での推移に入ったことで81.281円まで安値を切り下げた。

テクニカルポイント、ダブルトップ型(毛抜き型)形成で上昇基調崩れる

豪ドル米ドルも午後に0.74679ドルへいったん上昇して9月3日夜高値0.74773ドルに迫ったものの越えられずに失速し、7日深夜には0.73743ドルまで安値を切り下げ、その後も安値圏での横ばい程度にとどまっている。

豪ドル円はドル全面高によりドル円が反騰したことで下支えも乗られるが、8月20日安値からのドル全面安からドル高へと流れが変わってきたことで豪ドル米ドルも豪ドル円も9月3日夜高値と7日午後高値がダブルトップ型となっての下落であり、これまでの底上げをして戻り高値を切り上げてきた流れから、戻り高値を切り下げて安値を更新する弱気パターンにつかまり始めた印象だ。

注目材料 豪中銀は債券購入を縮小するも期間を延長

オーストラリア準備銀行(RBA、豪中銀)は9月7日の定例理事会で政策金利を過去最低の0.1%で据え置き、7月会合で発表したパンデミック対策の量的緩和による債券購入プログラムについては8月まで継続してきた週50億豪ドルから9月以降に週40億豪ドルへと減額した。ただし感染拡大の影響を踏まえて債券購入を当初予定の11月までから来年2月半ばまで凡そ3か月間延長するとした。政策金利の据え置きは9会合連続。

オーストラリアにおける急激なデルタ株の感染拡大とロックダウンの長期化を踏まえて、豪中銀は7月に決定した債券購入規模の縮小開始を延期するのではないかと市場は予想していたが、予定通りに始めるとしたことで政策発表当初はいったん豪ドル高へ進んだ。しかし債券購入期間を延長することとしたことから豪ドル買いは続かずに一転して急落反応となった。

豪中銀は感染拡大の影響は限定的とみており、7-9月期のGDPが落ち込み失業率も数か月は悪化するだろうとしたが、景気回復の流れは継続してゆくとし、債券購入期間の延長で様子を見ながらも10-12月期のGDPはプラスに回復すると楽観的な見通しを示した。

注目ポイント 豪州感染拡大はピークアウト?

オーストラリアの新型コロナウイルス新規感染者数は9月2日に1472人 9月3日1645人、9月4日1741人と過去最高を更新してきたが、9月5日に1658人、9月6日に1545人、9月7日は1487人とやや減少がみられる。依然として高水準であり、去年8月の第二波のピークでは7月30日に721人だったところから第三波の現在は倍増以上の規模となっている。果たして現状でピークアウトしてロックダウン解除へ進めれば豪中銀や豪政府が示しているようなワクチン接種率の上昇で状況も落ち着いてゆくという楽観的な見通しの実現も可能なのだろうが、多少の乱高下を繰り返しつつまだピークではないということになるとロックダウン長期化の影響も深刻化してゆき、豪中銀も債券購入期間の再延長等を強いられる可能性もあると思われる。

シドニーのあるニューサウスウェールズ州政府は8月20日にロックダウンを9月末まで延長、首都キャンベラは8月31日にロックダウンの2週間延長を発表、メルボルンのあるビクトリア州も9月23日まで延長した。豪政府は9月1日時点で57.2%のワクチン接種率を70%まで引き上げて規制を緩和する方針を示している。

短期テクニカル分析

60分足チャートにおいては概ね3日から5日周期での騰落リズムがみられる。

豪ドル円は8月20日夕安値を起点として上昇期に入ってきたが、その後も8月27日午前安値、9月2日午前安値で目先の底を付けて一段高を繰り返してきた。9月3日夜に高値を切り上げてから新たな高値更新へ進めず、7日午後高値とはダブルトップ型を形成して失速しているため、今後は2通りのケースが考えられる。

一つは9月3日夜高値を直近のピーク、7日夜安値を直近のボトムとして戻しに入り、8日夜から10日夜にかけて高値を試す流れへ進むケース。もう一つはダブルトップ形成による下落期入りとしてダブルトップの中間点にある6日午後安値を基準にして9日の日中から13日にかけての間へ安値試しを続けるケース。81.75円を超えるところからは前者とし、7日夜安値を割り込む場合は後者の流れと考える。

60分足の一目均衡表では9月7日の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落した。新たな安値更新を回避して進めば遅行スパンは好転してくるが、先行スパンを上抜き返せないうちは一時的に遅行スパンが好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とみる。先行スパンを上抜き返すところからはいったん戻りを試す流れとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は30ポイント台へ低下してから50ポイント超えへ戻している。40ポイントを再び割り込まないうちは上昇余地ありとするが、40ポイント割れからは20ポイント台への低下を伴う下落を想定する。

9月8日の売買戦略

8月20日からの上昇トレンドから転落し始めているため、当面は戻り売り有利の情勢と考える。81.75円から81.85円にかけては戻り売りにつかまりやすいとみる
7日夜安値81.281円割れからは81.00円、80.75円を順次試す流れとみる。80.75円割れからは先行きで80円台序盤へ向かう流れとみる。

9月8日の注目経済指標

  • オーストラリア
  • 17:10 デベル豪中銀副総裁、オンライン会議で発言
  • カナダ
  • 23:00 カナダ銀行 政策金利 (現行 0.25%、予想 0.25%)
  • 英国
  • 24:00 ベイリー英中銀総裁、発言
  • 米国
  • 23:00 7月 雇用動態調査(JOLT)
  • 26:00 財務省10年債入札
  • 26:10 ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演
  • 27:00 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
  • 28:00 7月 消費者信用残高 前月比 (6月 376.9億ドル、予想 250.0億ドル)
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