ローソク足のストーカー!?パラボリックを理解しよう!

パラボリック

FX取引で、はじめに確認するべき重要な項目は「2つ」あります。

その「2つ」がこちら。

・・・そんなこと、当たり前だよ!と、思われるかもしれませんね。

この「2つ」をモノにできれば、FX取引は、上昇するか下落するか1/2の確率を判断するだけなので、利益を出すことが出来ます。

しかし、予知能力でもあれば別ですが・・・大概の場合、未来の相場はこの「2つ」を正確に予測することは難しいのです。

  • エントリーした途端に、トレンドが反転した
  • 損切りした途端に、相場が自分が思ってた方向へ伸びた

と、いう経験が皆さんもあるはず。

この問題は、どんな教科書を読んで勉強しても克服できず、唯一の克服方法は、自分自身のトレード経験を積むしかないのかもしれません。

しかし、「目安」として使用できる指標があります。

それが今回ご説明する「パラボリック」というインジケーターです!

ほとんどのFX業者でトレーディングツールのチャートに実装されていることが多く、MT4をお使いの方は、ナビゲーター内に「Parabolic SAR」と表示されています。

パラボリックのあの点々は何?パラボリックをどう使えばいいの?というあなたのために、パラボリックの「説明から使い方まで」分かりやすくまとめましたので、ぜひトレードに取り入れてみてください!

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パラボリックってなに?

では、さっそくパラボリックの説明をしていきたいと思います。

パラボリックは移動平均線(MA)などと同じトレンド追随型のテクニカル指標です。

「トレンドはやがてその勢いを失って反転する」と言う相場パターンを
パラボリックの生みの親!

開発者のJ・ウェルズ・ワイルダー氏が検証で導き出した考えに基づく手法となっています。

パラボリックは、ローソク足に追随していくことから「ローソクのストーカー」なんて呼ばれています(笑)

実は、「パラボリック」とは略称で、正式名称は「パラボリックSAR」といいます。

なぜ、パラボリックと呼ばれるようになったのか?というと「転換点」のことを「SAR」(Stop And Reverse)と呼び、それをつないだ形状が放物線状なので、放物線という意味からパラボリックと呼ばれます。

末尾についているSARの「Stop And Reverse」とは、日本語で「止まって逆に」や「停止と戻り」を意味します。

パラボリックSARとは、放物線で「停止」と「反転」を表示するという意味になり、「ドテン(途転)売買」用のシステムとして開発されています。

「ドテン売買」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

「ドテン売買」とは、買いポジションと売りポジションを交互に取りながら売買していくことです。

「保有するポジションをひっくり返す(逆転させる)」と言い換えればイメージつきやすいでしょうか?

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チェック!「SAR(Stop And Reverse)」とは?

  • ストップ(止める):買いポジションまたは、売りポジションを決済すること
  • リバース(反対): ポジションを反対にすること。「買いポジション」から「売りポジション」に、「売りポジション」から「買いポジション」に転換

つまり、パラボリックは、トレンドの流れに乗った後に「転換点」の「SAR」でストップ&リバースするテクニカル分析指標となります!

しかし、少し前までは、パラボリックSARの名称の意味とおり「ドテン売買」するときに役に立つ指標として利用されていましたが、

・・・最近ではスキャルピングの参入ポイントに使うトレーダーも見られるようになっているようです!

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パラボリックの一般的なシグナルは?

まずは、パラボリックの一般的な「パラボリックシグナル」の使い方を説明します。

ほとんどのFX業者でトレーディングツールのチャートには、標準装備されています。

チャートに表示すると、ローソク足の上下に「点」が表示されます。この「点」がSARです。

ドル円の4時間足

図のチャートにあるように価格のトレンドを「SAR」が放物線上に追いかけて行くのが特徴です。

「ローソク足のストーカー」と呼ばれるわけもわかりますね(笑)

パラボリックの見方は以下の図でも分かるとおり、相場の値動きとSARが交差した地点なので一目で分かり、とっても簡単です!

パラボリックが上から下降していき、ローソク足にぶつかったところ=「買いシグナル」

パラボリック買いシグナル

パラボリックが下から上昇して、ローソク足にぶつかったところ=「売りシグナル」

パラボリック売りシグナル

つまり、パラボリックがロウソク足の上にあるか下にあるかを見ることで買いと売りのどちらが優勢か?ということがわかるんです。

この「SAR」と価格チャートの交差はトレンドの転換と判断できるため
売買判定だけなく、トレンド判定に使う場合もあります。

トレンドの判定方法は、ローソク足が「SAR」の上にあるときは上昇トレンド、ローソク足がSARの下にあるときは下降トレンド、と判定するのが基本となります。

もう1つ!パラボリックの重要なポイントは「点(SAR)のスキマ」です!

トレンドが強ければ強いほど、点と点の間が広くなります。

そのため、点のスキマが広い場合は「強いトレンド」「本格的にトレンドが転換した」と判断することができます。

パラボリックの点のスキマ

パラボリックを用いた「ドテン」の使い方

シグナルが出たら、これまで保持していた”ポジション”を清算し、新たに反対向きのポジションを建てるという「ドテン」の使い方が基本と説明しましたが、過去チャートで実際にパラボリックのシグナルを使ってエントリーしたら、どれくらいの利益を狙うことができるのか、検証してみました!

パラボリックGBP/USD

GBP/USDの4時間足チャートでパラボリックのシグナルに従い、ドテン売買で「約265pips」の利益を獲得しました!

パラボリックGBP/USD2

上も同じくGBP/USDの4時間足チャートです。

今回のチャートはダウントレンドが続いている状況なので、「パラボリックの売りシグナルでエントリーし、買いシグナルで一旦決済して利益確定」という戦略がばっちりあてはまる相場となり「約358pips」も獲得できました!

パラボリックのシグナルで注意していただきたいのは、「点」が3つ出るまではトレンド転換が確定しないということです。

理由としては、「点」が1つ~2つ表示されただけで判断すると、ダマシにあうことが多いからです。

このチャートでも、下落が少し弱まったところでパラボリックの点が2つや1つローソク足の下に出ていることがあります。

しかし、3つ目を付けることなく下げ続けています。

そのような場合はポジションを保持します。

いかがでしょうか?

ただパラボリックには、説明したようなメリットばかりではなく、もちろんデメリットもあります。

パラボリックはトレンドが出ている状況で威力を発揮します。

そのため、開発者のJ・ウェルズ・ワイルダー氏自身も著書に記していますが、やはり、しっかりとしたトレンドが出ている時に使用しないと、なかなか効率的に活用することは出来ません。

逆を言うと、「相場のボラティリティ(値動き)が小さい場合」「持合(レンジ)相場などの場合、パラボリックのシグナルが点灯し続け、いわゆるダマシが多くなります。

開発者のJ・ウェルズ・ワイルダー氏は「DMI」や「ADX」を併用して「トレンドが確認できる局面でパラボリックを利用する」ことをおすすめしています。

もちろん、相場に絶対はないので、必ずしも勝てる!というわけではありません。

冒頭でお話しした、FX取引で、はじめに確認するべき重要な「2つ」の項目を覚えていますか?

  • いつトレードを開始(エントリー)するか
  • ”売り(ショート)”、”買い(ロング)”どちらが適切なのか

パラボリックは売買判定だけなく、トレンド判定の1つの判断基準の「目安」となることは、お分かりいただけたのではないでしょうか。

DMI 初心者でもできる!DMIを使ったトレンド判断

パラボリックの計算式について

パラボリック(SAR)の計算式は、以下のように表されます。

SAR=前日のSAR + AF ×(EP-前日のSAR)

ただ、これだけで言われても、何のことかさっぱり分かりませんよね?

そこで、理解するためのポイントとして「前日のSAR」「EP」「AF」と分け、実際に計算する過程を紹介していきたいと思います。

前日のSARについて

求めるパラボリックを「Y」、そして前日のSARを「X」とした時、チャート上におけるYとXの関係は、次のようになります。

つまり、パラボリックSARを求めるためには、必ず前日のデータが使われているとういことですね。

EPについて

EPとは極大値のことであり、上昇トレンドであれば、そのトレンド期間の高値、下落トレンドであれば、そのトレンド期間の安値、ということになります。

こちらも、先ほどのチャート図から確認してみましょう。


ご覧の通り、Yを求める前の期間における最高値は、白丸で囲った部分のローソク足となります。

またトレンド期間中に、最高値が更新されるようなことがあれば、次回以降のパラボリックの算出には、更新されたローソク足が新たなEPとなります。

AFについて

AFは、0.02〜0.2までの値をとる変数であり、ローソク足1本ごとに0.0.2ずつ加算されていきます。

図中のYはトレンドにおける7本目のローソク足、つまりAFには6回の加算が行われたということになり、その数値は「0.14(0.02+0.02×6)」となります。

なぜこの計算を行うのかは、その理由については開発者であるJ・W・ワイルダー氏でなければ分からず、また理解しなくても全く問題ありません。

計算上、上手く機能するために辻褄を合わせたもの、そう捉えておきましょう。

以上、パラボリックを求めるために必要な「前日のSAR」「EP」「AF」について、チャートのどの部分を指しているのか、お分かりいただけたのではないでしょうか。

パラボリックのメリット・デメリット

パラボリックのメリット・デメリットとはどのようなものでしょうか。

本節では、デメリットをカバーする方法までまとめて紹介していきますので、ぜひ以下の内容を踏まえて、トレードに活かしてみてください。

パラボリックのメリット

パラボリックはトレンド系のインジケーターであるため、大きなトレンド相場で威力を発揮します。

トレンドの始点から終点までpipsを稼ぐのは難しいですが、トレンドの中腹あたりであれば、エントリーした直後にプラ転するような、安定的なトレードが身につくでしょう。

もちろん、エントリーだけでなく最適な決済タイミングを測ることにも有効です。

またテクニカルを重視するトレーダーの中でも、パラボリックの人気は高く、多くの人が意識するような、重要な転換点を見分けられるようになります。

詳細は後述しますが、他のインジケーターと併用することで、より精度を高めることができるので、そちらも試してみてください!

パラボリックのデメリット

上述した通り、パラボリックはレンジ相場に非常の弱いという性質を持っています。

狭いレンジで上下動を繰り返すような値動きでは、騙しの発生率が非常に高くなり、パラボリックを信頼してトレードしたとしても、勝ちきることはできません。

例えば、上図のようなレンジ相場に関して、パラボリックが下側→買いエントリー、上側→売りエントリーと、インジケーターに従って売買するとどうなるでしょうか。

結果を見てわかる通り、買うと下落して、売ると上がるという往復ビンタを喰らうことになりますよね。

このようにパラボリックは、狭いレンジ相場ではまともに機能しないので、トレンドかレンジ相場か、ある程度見抜いた上での活用をオススメします。

トレンドとは FXのトレンドとは?相場から利益を狙うために必要な知識を解説!

パラボリックのデメリットをカバーするには?

パラボリックをカバーする方法として、開発者のJ・ウェルズ・ワイルダー氏自身は「DMI」や「ADX」のようなインジケーターを活用して、レンジ相場かトレンドか、常に見極めることを推奨しています。

ただ、全てのテクニカルトレーダーが「DMI」や「ADX」について精通しているわけではありません。

そこで、「DMI」や「ADX」以外にも、パラボリックと相性の良いインジケーターとして以下を紹介させていただきます。

移動平均線(パーフェクトオーダー)
RSI
RCI
一目均衡表
MACD

特に移動平均線は、多くのトレーダーにとって馴染み深いものであり、パーフェクトオーダー(3種類の移動平均線と、トレンドの向きが揃うこと)とパラボリックの相性は抜群です!

上図の通り、パーフェクトオーダーと、パラボリックの示す上昇トレンドでエントリーできれば、より勝ちやすいトレードになるでしょう!

パラボリックだけの活用より、はるかに信頼できるエントリーポイントとなること間違いなしなので、ぜひ試していただければと思います。

移動平均線 すぐに使える!FX初心者のための移動平均線実践講座!

パラボリック利用時の注意点は?

パラボリックをより有効に活用するためには、どのような点に注意すればいいのでしょうか?

多くの人がやってしまうであろう失敗例を挙げながら、パラボリックの注意点について紹介していきたいと思います。

トレンド反転後にすぐエントリーしない!

(パラボリックがトレンド反転を示した!さっそくロングだ!)

パラボリックは「ドテン」の使い方が基本であるため、それを鵜呑みにしたトレーダーは、言葉の通りドテン買いしてしまうのではないでしょうか?

しかしトレンド転換を示したからといって、それがトレンドの起点になるかどうか定かではなく、騙しの可能性も十分に考えられるわけです。

実際、レンジ相場を形成しやすい通貨ペアにおいて、「ドテン」のエントリーは難しく、パラボリックを用いたバックテストでは、勝ちきれないことが分かっています。

上述したように、パラボリックのエントリーはSARを3つ分数えたのち、トレンドの形成が明らかになってから、または他のインジケーターと併用するなど、トレンドの見分け方を心得てからにすべきでしょう!

パラボリック:まとめ

最後に、パラボリックの特徴を整理しておきましょう。

【メリット】

  • 簡単に「売買タイミング」を判断することができる
  • 大きなトレンドが発生したときにトレンドが継続するかを見極めるのに有効

【デメリット】

  • 持ち合い(レンジ)相場など、チャートが細かく上下する場合は、シグナルが多発して信頼度が低下する
  • トレンド追随型のテクニカル指標なので、動作が遅くなる

どの指標にもメリット、デメリットがあります。

そのため、他の指標と併用して使用するなど、一つの指標や手法にこだわらず、相場の状況に合わせて、臨機応変に対応してみてくださいね!

MT4でのパラボリックの使い方について

出典:OANDA|パラボリックの基本的な見方、使い方、トレーディングアイデアを紹介

よくある質問

パラボリックが人気の理由は何ですか?それだけで勝てるでしょうか?

パラボリックSARは使いやすく、他のテクニカルと合わせて優位性を確保できる利点から、国内のみならず、海外でも人気のインジケーターです。また、パラボリックと他のインジケーターと組み合わせたシンプルな手法が多いので、成果にも繋がりやすいでしょう。

スキャルピングでもパラボリック使えますか?

結論から申し上げますと、使用することは可能です。さらに精度を上げるため、パラボリックを使用してスキャルピングを行う時には、テクニカル分析と組み合わせて、まず時間足でトレンドの確認をおすすめします。

パラボリックはMT4からどうやって確認しますか?

PCの場合、MT4を開いていただき、【挿入】→【インディケーター】→【トレンド】→【Parabolic SAR】よりパラメーターの数値を設定してください。